ガ  サ

音も無くそれはやってくる。


麻取り・・・・関東麻薬取調べ官


私はこの麻取りに何度マンションのチエーンを切られたことか。



「家宅捜査令状」


初めての時はそれを見なかった。

失敗だ・・・・


そこには何の容疑でどんな行為がなされたかなどが書いてある。


それを見ると見ないでは大きな差が生じてしまう。



警察は部屋を隅から隅まで荒らしまくって、そのまま連行だ。


後片付け、チエーンの保障などしてくれない。


一度、言った事がある


「これ弁償してよ!」


「弁償させるような事をしなければいいんだ!」


それで終わりだ。


ガサの経験がある人は思うだろう。


部屋に帰ってみたらとんでもない散らかりだ。



砂糖・塩・小麦粉・・・白い粉は台所で開けて捨てる


冷蔵庫にある角氷は指で舐める


洋服の一枚一枚を丹念に探す



私は「動くな!」と言われその様子を見ている


その私の目を監視してる刑事が1人いる。


ヤバイ場所に人間は目が行くのだろう。


何処を荒らされても下を向いている。


内心、あそこを見られたらおしまいだなと考える私がいる。



タンスの上に100本の注射器が入った箱があるのだ。


下を向いててもその視覚に入っている。



意外に刑事は細かいところを見るが最後までその箱を見なかった。


堂々と出しすぎていたのだ。


私は所持も使用もしてない時期だった。


シャブはシャブ痕があっても所持使用がなければ証拠が無い


公判維持は出来ない


シャブ痕は

「私、針中なんです」

などととぼけたことを言うしかない。


100本の箱は最後まで誰も手にしなかった。


ガサというものは忘れた頃にやってくる。


このガサで私は昼間の職まで失った


その保障もしないのが警察だ


何でもかんでも「それならこんなことをしなければいい」

それで終わり


今は平和で平凡だが近日中に世の中を騒がせた有名な極道と対談をすることになった。


恐れ多い人物だが逢って聞きたいことがあるのだ。


墓場まで持っていくか、報告するかは逢ってみないと判らない。


また埃が積もりそうだな~