極道に愛人はつき物だ。
私が慕っていた姐さんがいた。
やはり組長の愛人だった。いつもノロケ話を聴かされてはいたが・・・・・
その姐さんとの繋がりはシャブしかなかった。
お互いの家に行きシャブを食らっている。
ある日、姐さんの家にいると組長が着流しを着て来たのだ。
いまどき古い人間だな~と思いながら遠慮しながら見ていた。
「それじゃ私は帰るわ」
そういい残して2人を見ながら玄関へと向かった。
姐さんが私に
「後で連絡するわ」
そう言いながら私の手にシャブのパケを握らせる。
この後、二人が何をするのか・・・・想像ができるだろう。
数日後、また同じような場面に出くわした。
姐さんがトイレに行ってる間、その組長と2人きりになってしまった。
組長は思ったほど怖いと言うイメージではなく眼光の鋭い人だなと思う。
「友達かい?」
突然聞かれた。
「ハイ、そんなもんですが・・・」
まるで蛇に睨まれたカエルのようだ。
次の言葉が出てこない・・・・
しかし組長が突然言った。
「わしは、お前に惚れたようだ」
「えっつ?何ですか?」
「わしについてくる気は無いか?」
「でも姐さんが・・・・・」
「あいつと寝てるとサルとやってるみたいでいつも電気を消してるんだよ」
確かに姐さんはサルに似ていた・・・・
外に車を待たせてあるから、それに乗って今日は帰れと言うことだ。
この時から運命が変わっていたのを知らなかった。
若い衆の運転で自宅まで送って貰ったのだ。
男はいなかった・・・・・
1ヶ月ぐらいして私は買い物から帰ってきたら自宅の前に見慣れない外車がある。
ドアが開き2人の男が降りてきた。
「すいませんが車に乗ってもらえないでしょうか」
と同時に体を車に押し込まれた。まるで今で言う拉致のようなもんだ。
あのときの運転手だった。
「組長が連れてきて欲しいというもので、突然にすいません」
私は買い物帰りで野菜などを袋に入れて持っていた。
マンションの1室に通された。
小奇麗なマンションだ。男所帯ではない。
そんな部屋を見回していると着流しを着た組長が入ってきた。
「手荒いことをして申し訳ない」
と言いながら頭を下げた。
暫くの沈黙が続く。
私から口火を切った。
「一体何の用事なんでしょうか?帰らないと男が待ってるんです」
「その男なら話がついてる」
「はあ?」
「別れろ!。わしの女房にならんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ま、返事は今でなくてもいいが」
「待ってください、私はこれからどうなるんですか?」
そんな会話をしていた。
その部屋は組長の別の愛人のマンションだった。
愛人不在で、暫くそこに住む。
後々、組長には愛人がたくさんいたが本妻は別れたばかりだった。
妙な物で、住めば都だ。
だんだんと組長との距離が近くなってきた。
19歳の娘を連れてやってきた。
組長の娘にしてはしっかりした、普通の娘だった。
娘に何をいい出すのか
「今度、一緒になろうかと思ってる」
「そう。いいんじゃない」
若い小娘に値踏みをされた感じだ。
私にも段々と情が沸いてきた。
優しく、頭の回転のい人間だ。
しかしシャブヅケの体はかなりキテル。
私には、もういらないと言うほどのシャブを毎回置いて帰る。
段々とたまってくる。シャブ漬けにする気か?
箪笥預金みたいなものだ。密かに私はソレを売っていた。
私が愛人を蹴散らして本妻になったのはこんな経緯があった。
しかし、今度は私が愛人の面倒を見る羽目になる。
極道の女社会は連結が堅い。
浮気などと言うもんではない。
愛人と一緒に寝ることもある。旅行まで皆一緒だ。
本妻は面倒見が大変なのだ。
愛人は隠れ蓑のような」ものだ。
映画の世界の極妻など実際にはセックス意外ありえないことだ。
女が出る世界ではない。女の意見など通る甘い世界ではない。
チャカを持ってぶっ殺すのは亭主の敵をとりたい時だろう。
しかし、その後は殺される覚悟だ。
綺麗な脚色に騙されてはいけない。
あくまでも娯楽として拝見しよう。
*私は後にこの組長のために死んでもいいと思う事件が起きた。
組長も私と自爆する気だったのだ。