あまり普通に素直なおとこは少ない。
西を指差せば東だと言う。
何でも反対のことを言う。
付いたあだ名が「西」だ。
最近この西が死んだという知らせを電話で聞いた。
懐かしい青春時代の仲間だ。
アルパチーノのような風貌にソフト帽をかぶっている。
私たちは5~6名の団体行動をしていた。
私は独身だったがその中の一人と同棲をしていた。
みんな極道だが、筋の通った立派な若い衆であった。
毎日365日会っている。
年末年始も一緒だ。
若いときから思っていた。
「この男は将来でかくなるのだろうか・・・」
「この男はヤクザには向かないな~・・・」
そんな期待を裏切ってヤクザに向かない男は今は立派な組長になった。
将来でかくなるだろうと思った男は、組の金を使い込んでヤクザから足を洗った。
そんな時期にこの人は将来大物になるかも知れないという人がいた。
その期待を裏切らずに大物になって、総長になっていた。
そんな話を、総長になり損ねた男から聞いた。
どんな世界でもそうだろう。
総長の器。
総長の若い衆でいたい度量。
縁の下の力持ちだ。
これはカタギの世界でも共通する。
私は普通に暮らしてソレを幸せと感じるときが今だろう。
流れ弾も怖くない時期もあったが、今考えるとソレが普通の生活だと思っていた。
普通の生活に戻るまでは大変だったが、それなりに消化していった。
未だに消えないのは彫り物とシャブ痕に刃物傷だ。
それだけは消せない。
今、冬で助かっていることも多い。
その全てが隠せるからだ。
私の若い頃に同棲していた男は、私が将来こんなに普通の生活をしているとは思っていないだろう。
ほかの誰もがだ・・・・・
ありがとうの感謝の言葉が言える女になろうとは・・・・・
ヤクザな女も時代の流れに染まって、いい色に変わってきているのだ。
たまには自分を褒めてやらないと、自滅しそうだ。