シャブを持って行くのに何となく気が引ける。
新幹線で行けばいいものを、飛行機で行ったからだ。
空港のトイレで一発濃い目のをズケた。
赤キャップのポンプは紙に包んでそのまま流したら上手く流れてくれた。
問題の残りをどうするか、前の日から考えていた。
「飲めばいいじゃん・・・・」
「胃に穴が開くよ・・・・」
「何で血管には開かない・・・」
そんなくだらない話を真面目に話している。
飲めばいい・・・・
バレないで人目についても怪しまれない方法・・・・
あれしかない・・・・・クララだ。
そんなカプセルに入った喉の飲み薬がある。
その中に楽しそうにシャブを紙サジで入れた。
いざ、飛行機の中で2人で飲もうかと目で合図をする。
まるで、これから青酸カリでも飲んで自殺でもするかの様な雰囲気。
クララはハッカの香りでスースーする。
ソレを咳払いしながら口の中に放り込んだ。
誰も怪しむ人はいない。
クララも思ったほどシャブの苦味を消してくれた。
飛行機の座席の背中にあるいろんなパンフレットを、隅から隅まで読んでいる。
かなりキイていた。
クララも捨てたもんじゃない。
タラップを降りる足取りは軽かった。
一緒に行った相棒の男がクララの入ったバックを座席の背中に忘れた。
取りに行かないとまずい・・・・
急いで職員に忘れ物のことを言う。
事務所まで通された。
心臓がバクバクするのだ。
ここでバレたら一貫の終わりだ・・・・
荷物検査に協力してくれという。
係官がクララを見ながら
「まさか毒なんか入ってないよね・・・・」
明るくいう。
こっちは冷や汗ものだ。
冷静を装うのは大変なことだった。
何とか自分のバックの証明ができて、帰してくれた。
汗をかいた分、シャブが抜けたような気もする。
人ごみの空港の廊下で、堂々とシャブ入りのクララを飲んだ。
水なしでもイケるシャブもたまにはいい。
あまりお勧めできないが、苦肉の策だった。
年末になると思い出す出来事だ。
最近クララをみかけない。