ネタを食うたびに思う。


これをやったらもうやめようかなー


それもまだネタにゆとりのある時だけだ。


最後の一発分を眺めながら


「あー、体がボロボロだなー」内臓の全てがおかしい様な気がしてくる。


切れ目の鬱状態の時に考えることだ。


パケを手に持ち


「せいぜい1.5回分か~。中途半端な量だな~」


そんなことを考えながらシリンダーにネタを入れる。


0.5回分は切れ目の繋ぎにしておこう、などと考えるのだ。


繋ぎ?やめようかと思ってる人間が繋ぎってことは・・・・・



ネタ屋の倉庫も足りなくなってきた。


大元からなかなか届かないと、何かあったのかと心配になる。


結局はやめられないのだ。


回りはポン中だらけ。


その中にすっぽりと納まってる自分。


ある日、ネタをそこらじゅうに隠してしまった。


自分でも手が届かない場所だ。


大きな箪笥の後ろに投げて落とした。


重い畳を二人がかりで持ち上げてもらってその下に入れた。


そんなことをするなら捨てればいいのだが、それができないのがポン中だ。


その頃の私は腕にシャブ痕があちこちにできていた。


何をトチ狂ったのか、針がどこにも刺さらない。


お腹を出して、長い針に取り替えた。

特殊な針で10cmはある。


左の骨盤の内側にある動脈に直接刺した。


キキメが凄い・・・・


しかし針が抜けてしまい、その動脈の血が天井まで心臓の脈と同じ間隔で噴出した。



針も抜かないで打っている最中にアタリが来ていたのに・・・・・


天井の血は結局は落ちなかった。



早くポンプを洗ってこの感じを味わいたいと思うのだ。


腕の静脈と動脈の大きな違いだ。


効いてる時は切れ目のことなど考えない。


せっせとネタの整理をし始める。


パケに小分けするのだ。


そんなと時に限って誰かが来る。


「姐さん、今日金が無いんだけど・・・・一発だけでいいから食わせてよ」


「シャブに付けは利かないんだから、黙っててあげるからいいわ」


そう言って私のパケから出す。


半端な量ではないのだ。


手の甲にさして眉間に皺を寄せながら血管を捜している。


なかなか入らないのだ。


見ているこっちまで(早くしろよ!)いらつく。


ポンプの中のネタがだんだん赤くなっていく。


何度も吸い上げては失敗するとこんな具合になるのだ。


誰でも経験はあるかも知れない。


そうなると焦る。


血液の凝固でシリンダーを押しても針の穴が詰まってしまう。


やけっぱちになった客は、最後の手段か、思い切ってシリンダーを押す。


手の甲が膨らむ。


完璧に漏れている。可愛そうに・・・・


そんなときは一発分あげたものだ。


そんな客だった男も朝方車の中で死んでいた。


誰もが思う。


自分の指紋がついていないか・・・・・

アドレスは残っていないか・・・・


ポン中が一人死ぬと言うことは、その被害も大きいのだ。


今みたいに携帯が無い時代だった。


ポン中は食ったら酒をあまり飲まない。


飲んでも酔わないし、入っていかない


その逆もある。


かなり酔っていて、シャブを入れると酒が消えてシラフに戻る。


私が飲む酒の量は半端ではない。


そのときに多目のシャブを打った。


目が回り、まっすぐに歩けないのだ。


二階の階段の上から真下まで見事に落ちた。


不思議と怪我はしなかったが、シャブが勝った時間に役1時間はかかっただろう。


年末に向け、皆様、酒を飲んだらおとなしく寝るべきです。


馬鹿なチャンポンはやめましょう。


クスリと酒が喧嘩するのはポン中なら知っているはず。


そんな年末に思ったことです。


飲んだら打つな。打つなら飲むな・・・・・・



結局、畳も馬鹿力で持ち上げ、箪笥も持ち上げ、正月に食ってしまった。


やめる気がないから隠すのだろう・・・・・