始めるキッカケは人それぞれだろう。


これまでに見てきた変わった人達を紹介したい。


一番感心したと言っては変だが、1ヶ月に1パケだけ買うカタギの会社員がいた。


1ヶ月で1gを持たすのだ。

私には考えられない・・・・・


隠し場所は通勤してる会社の倉庫らしい。


決して乱れず騒がず、いつもニコニコしながら買いに来る。

それを大事そうに持って帰るのだ。


まるで定期便のような人だった。

混ぜものが無いから、自分で混ぜていたのだろうか・・・などと考えたこともあった。



切れ目がきてもやらないと決めているらしい。


切れ目がきたら寝る。それだけのことらしいのだが、それができないのがポン中だろう。


私はこの男を「マジメ君」と呼んでいた。

シャブをやってマジメもないが、当時はそう思ったものだ。


今頃、年季の入ったポン中になっていなければいいが・・・・




買い手と売人の両方をやってる男がいた。


Fと言う男だ。


これは最悪だった。やはり自分で入れたい為に金を集金して回って、ネタ元に買いに来る。

こう言う客は売るほうもかなり注意はしている。


芋ヅル式になる可能性が大きい。


様子を見ながら売るのもかなり神経を使う。

それは試し打ちをさせると分かるものだ。


走ってる人間は、その場で止め処も無く話し始める。

危ない・・・・・


私にしてもそうだが、1人でネタを身体に入れても、人前では見た目は変わらない。

良く言われたものだ

「姐さん、本当にやってるんですか?」


「私は針チュウなの、刺すだけでいいのよ」

なんて冗談を言ったものだ


ネタを入れて1人になるのが一番走りやすいのだ。

誰かがいれば、そんなにテンパル事もないだろう。


ポン中の相棒を持つ人に教えたい

もし、錯乱したり、暴れたり騒いだり、幻覚を見た話しなどを始めたら、耳元で目一杯大きな声を出すのだ。


意外に効果がある。

元の世界に戻す効果だろう。

予期せぬ音を鳴らすのもいい。

一瞬シラフになるものだ。


私はこの当時、こんなことを知っていればと思うのだ。

幻覚の世界にいる人間と話すのは大変なのだ。


壁の向うは外なのに

「この向うに6畳の部屋があって、そこで監視してるんだよ」

真顔で言う。


何度違うと言っても引かない。

今ならフライパンにスリコギ棒で「ガーン」と1発鳴らしてあげたかった。

当時はそんなことも知らずに、その監視してる人の話しに延々と付き合ったものだ。


私もかなりのポン中だったが、一人の時の行動は今考えても変だ!


しかし、人が来れば普通に話していた。

そこに誰かが、などと言うのは性格なのかもしれない。

理性との闘いがシャブだ。

セックスをしてシャブなどをやれば、理性などいらない。

野獣のごとし・・・・か。


売人の私を末端の売人が車で送ると言う。

別に変わったことでもないのでおくってもらった。


着いた場所はラブホだ。

男は風呂に入るだけだからと言う・・・・

マンジリとして待っていた

男の考えてることは一つだけだ。

それで尻込みするタマではなかった。


男はサッパリしたのか私にも入って来たらと進めた。

それを断ったら

「姐さん,一度で言いから抱かしてください」


「ナニ言ってんの!私はシャブで身体は開かないのよ!」

かなりの迫力で呶鳴った。


「そうですよね・・・・じゃあー出ましょうか・・・」

(当たり前だ、何でアンタの相手をしなきゃならないの)


この場合、立場が逆転していたから私も言えたのだ。

私がシャブを欲しくて欲しくて仕方がなかったら、男の言うままに風呂に入っていたかもしれない。

シャブとはそんなものだ。


ただ思うのは、シャブさえ打てば女は足を開くと言うのは多少の誤解がある。

私のように突き離せない女がどれだけの餌食になっているのだろう。


実際に私もイヤな過去があった。


今では組長になってる男だが、年は私と同じだ。

S会の傘下の人間だが、年中同じようなメンバーでディスコに毎晩通っていた。


青山,赤坂あたりだ・・・

そこではシャブの売買を大ぴらにしていた。

有名歌手も来ていた。

大物女優のK・R。有名歌手のА・M・・・・切りが無い


そんな中にカタギの少しだけシャブをかじった女がいる。


向うから私達に寄って来た。


「シャブ売って貰えませんか・・・・」

切れ目の顔だ・・・


私達はシャブなど持って歩かない。

素人はヤクザを見るとシャブを持ってると考えているようだった。


「あるわよ」

私は男連中に囲まれて唯一の女だ。それに信用したみたいだ。


「もうすぐ待ってね、今取りに行ってるから・・・・」


「ハイ分かりました、ここで待たせてもらっていいですか?」

女は私の横に座った。

ヤクザ御用達の座席だ・・・・

女は24~5歳の普通の女だ。


外見からはシャブなどを欲しがる風貌ではない。


私達は3~4人の男を連れて、。その女も一緒に出た。


渋谷のラブホに4~5名で入る。


私と女と、今の組長の若かりし頃の男3名で1部屋に入った。


「○○、その女シャブが届くまで頂いたら・・・?」


○○も女もそのまま布団に入ってコトを始めた。

女はシャブで男の快感を知ったんだなーと私はソファーに座ってその行為を煙草を吸いながら眺めていた。


女は最後まで、やられるがままで、イヤともイイとも言わずにおわった。

所要時間5分


私は○○に

「終わったわね。帰るわよ」


女は布団に顔を横むけにしたまま見ない・・・

騙されたのが分かったのだろう。


これがヤクザだ。それも下っ端の人間だ。


「ひろみちゃ~ん、誰か女、見つけてきて」

これは年中言っていた


たとえ下っ端のヤクザでも外見や目つきで分かる。

そんな、ヤカラに女など寄って来るもんか!


今でも忘れないその女は、きっと私達を恨んで、二度とシャブには手を出すまいと思ってくれたら幸いだ。

しかし世の中は、そんな反動がシャブに走らせてしまう事もある。


ポン中とはいずれ劣らず、みな同じようなものだ。


特別違うものを入れてる訳ではない



私のポン中度はメモリが振りきれただろう。

今、目の前にある・・・・

それを見ながら、我慢我慢っと思いながら書いているのだ。


いっそベゲタミンA(赤玉)でも飲んで寝てしまおうかなどと考えているのだ。


そう、目の前に置かなければいいのだ。

馬の前にぶら下げる人参ではないのだから。


もしかしたら私は明日、切れ目かも知れない・・・・・・



次回は懲役帰りの詐欺師につての話しをしましょう。