私は、よく「手作り物」に興味を惹かれる。
中でもとりわけ陶磁器には、陶工ひとりひとりの個性と技が光り、そのパワーと温もりを感じる。
先日、また陶磁器を見るため、二度目となる愛知県知多半島の常滑市を訪れた。
実は数年前に訪れた際、数軒立ち並ぶある店で、色・形・大きさ・感触すべてに魅せられて購入したお茶碗があり、それを今でも愛用している。
今回もまず、そのお茶碗を購入したお店から周ろうとしたが、お店が特定できない。
片っ端から一軒一軒入って確かめるが、記憶があやふや。
一通り見終わり、特に気に入った陶磁器もなく、帰ろうと “ウィンドウショッピング” しながら駐車場へ向かい始める。
すると、外からガラス越しに、あるお茶碗に目が止まり、引き寄せられるように中へと。
お店の一番奥の、一番下の棚に陳列されていた、似たような五種類ほどのお茶碗。
私は吸い込まれるように、全てのお茶碗を手に取り感触を確かめた。
どれも良いが、私の直感はその一つに決定付けられた。
色や形は全然違うが、どうも以前買ったお茶碗と感触(焼き方)が似ている・・・。
お会計の際、店員さんに確かめた。
私 「こちらにある作品は、全て同じ作家さんのものですか?」
お店の方 「いいえ、色んな作家さんのものが置いてあります。」
私 「以前こちらで、同じ作家さんのお茶碗を買ったかもしれなくて。」
お店の方 「あぁ・・・、色んな作家さんのものがありますのでね、何とも・・・。」(ご名答)
私 「そしたら、お茶碗の“裏印” を確かめればいいですね?」
お店の方 「(淡々と)そうですね。」
私だけが舞い上がっていた自覚は十分にあった。
「年齢も性別も知らないが、これで同じ作家さんだったら、この世に私と同じ感覚を持っている人がいるんだな。」と。
数年前に買ったお茶碗とは、色合いも形も全く違う。
しかし外見から何かに引き寄せられ、手に取った瞬間自分にフィットする感触を得た。
「間違いない。」
さっそく家に帰り、裏印を確かめた。