春 中原中也の詩
今日は快晴。
外の風はまだ冷たいけれど、
心の奥のほうから「春が来たのだ」と、
小さな願いが叶ったときのような
軽やかな喜びが湧いてきて、
見上げる空が微笑んでくれているようだ。
同じことの繰り返しのような日々の中で、
ふと、若い頃に読んだ詩を思い出して、
人生を感じたりもする。
中原中也 『春』
春は土と草とに新しい汗をかかせる。
その汗を乾かさうと、雲雀は空に隲(あが)る。
瓦屋根今朝不平がない、
長い校舎から合唱は空にあがる。
ああ、しづかだしづかだ。
めぐり来た、これが今年の私の春だ。
「春」は中也の第二詩集『在りし日の歌』所収。
『在りし日の歌』は昭和13年、
中也の死の翌年に刊行された。
『日本の詩歌』第23巻
中央公論社 911.5/ニ/23
