第15回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作が本書。
作者は元がん研究者なのだそうで、専門用語がバンバン飛び交ってだいぶ難解なところもあるんですが、そういうどんでん返しでしたか!的な痛快さがありました。でもね…
「がん消滅の罠・完全寛解の謎」 岩木一麻(宝島社文庫)
≪内容紹介 from amazon≫
呼吸器内科の夏目医師は生命保険会社勤務の友人からある指摘を受ける。
夏目が余命半年の宣告をした肺腺がん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金を受け取った後も
生存、病巣も消え去っているという。同様の保険金支払いが続けて起きており、今回で四例目。
不審に感じた夏目は同僚の羽島と調査を始める。連続する奇妙ながん消失の謎。
がん治療の世界で何が起こっているのだろうか―。
日本人の2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡しています。鯖の母もその一人であるし、自分もがんにかかり、がんで死ぬ可能性はかなり高いんだろうなとみているガン。
そんな怖いけれども身近にあるガンについて、本書ではいろんな面が学ばせてくれる点でも面白いです。でも、この物語の核心は、そのガンが完全に消滅、直してしまう「寛解」という状態にしてしまうトリックにあります。
だいぶ込み入った医療技術を駆使した「技」であるけれど、そんな奇想天外な!って話であり、度肝を抜かれる面白さがあります。
ただ、結局のところの「救済」とはなんだったかのか、「先生」の計画とはなんだったのか、これから何が起きようとしているのか、あやふやなまま物語が閉じられてしまい、およよ…?となります。
ラストのどんでん返しなど、確かに痛快だし、こういうふうに主人公をすっ飛ばしてしまう展開って斬新だなあと思いますが、それでいいのか?というモヤモヤ感は残ります。続編でもあるんでしょうか?
うーん、鯖の読み込み方が足りないんでしょうか…
と、いう意味でも、難解な医療用語が飛び交うツラさを乗り越えて、本書がかかえるテーマ、背景にチャレンジしてみても良いかもしれません。薦めたいけど、薦められないって感じなので。
そうそう、本作は2018年にTBSでテレビドラマ化されていたんですね。
さっきサイトみて、キャストをみたのですが、まったくみんな鯖のイメージと違ってて、それはそれで面白いなと思いました。
ちなみに、「先生」の鯖の頭の中でのイメージは「品川徹」さんでした。
実際のTBSキャストは、ちょっと違うなあ。でもいったいあの物語をどうドラマ化したのか、気になりますね…。
鯖評価 ★★★☆☆(星3つ)