神戸能 | 春の夜の夢 Ameba branch

春の夜の夢 Ameba branch

Tedious dialy,
Latest edition for Ameba.
First manuscript is in Livedoor Blog.


第16回神戸能




お話 紅葉狩り 大森亮尚
山の中に美女が集まり食事や酒を持ち込んで宴会をしているところに余五将軍平維茂が通りがかる
なぜ山の中で宴会をやっているかというと、昔の風習で「歌垣」と呼ばれる春と秋に男女が見初めあう自由恋愛の宴会が、各地の山の中で開かれていました
「歌垣」 今でも歌垣の痕跡のあるところがあります。大阪の能勢には歌垣山があります
神戸では「えげやま」(会下山)があります かつてその北側に歌垣山がありました 歌垣で出会った男女が下りてきて恋愛をするところです
気が合えばそのまま結婚したり、合わなければまた一年後など
姫路城はかつて姫山で、その隣に男山がある
万葉集に残るのは筑波山
中国雲南省のミャオ族が今も歌垣をしています。昔、調査に行ったときに現地の女性に誘われ一緒に行っていた先輩に「どうしましょう」と聞いたら「馬鹿、行くな」言われ、結局行きませんでした
万葉集巻16 竹取の翁が山に入るときれいな乙女が9人おり、火おこしなど手伝っていたら笑われたりしたので翁が詩で自分の生涯を歌い、9人の美女を虜にしたとされています
今日のお能の「紅葉狩り」は、山の中で美女が食べ物を食べて遊んでいた.そこに平惟茂が鹿狩りで通りがかり、馬から下りて静かに通り過ぎようとしたら女たちから声がかかり、話をしていると教養のある女たちで万葉集を知っているなど話をしているうちに酒を勧められて飲んでしまい、酔いつぶれてしまいました。じつは、女たちは鬼神で、平惟茂地はその鬼神を倒すためにこの地に赴いていましたが、その合間に鹿狩りをしていて、この歌垣は鬼神が平惟茂を倒そうと仕組んだ罠でした
酔いつぶれた惟茂に石清水八幡宮からご神刀が舞い下りてきて、惟茂に女たちが実は鬼神であると夢で知らせ、目を覚ました惟茂はご神刀で鬼神たちを倒しました
長野県の戸隠山に「きなさ」(鬼無里)という里があり、鬼無里の語り伝えでは都のお姫様が追われてきて鬼女になったといわれ、平の維茂が退治したという伝説のお能です

ワークショップ(能の紹介)
シテ方の能面と装束の話
(面の話の初めは聞き逃しました)紅葉狩りに出てくる女たちは表情などはそれぞれ異なるものの同じ系統の面をつけていますのでそれぞれ見てください
里女の装束は通常着流し.平安時代に赤い袴をはくのは宮中に上る女官か白拍子
男性で赤い袴をはくのは帝のみ
紅葉狩りでは通常娘たちは着流しですが、話の位を上げている時は袴をはきます
中に着ている金と銀の鱗は、金の方は肌がつるつるであることを表します。鱗は心の中に邪悪な物を持っていることを表しています
能では巻くからでいるする人は能装束を着用している人で、紋付き袴の人は切り戸口で出入りしますが、切り戸口は神社の出入り口と同じで頭を下げて通ります。そのため切り戸口自体を低く作り、神様に一礼して出入りをします

お囃子のワークショップ
楽器で演奏されるものを囃子と言います
早笛は龍神が勢いよく現れる時などに使われます
楽器は笛(能管)、小鼓、大鼓、太鼓です。扇子を持った人がもう一人並ぶとお雛さまで見る五人囃子となります(並び方は右から口で謡う人、笛、小鼓、大鼓、太鼓と楽器が下の方に下りていきます)
笛について リコーダーなどは楽器が抜き差しできるようになっており、それで音程を合わせますが、日本の笛は一本の管で、音程を合わせることはできませんが、他の楽器は打楽器だけなので音程を合わせる必要もありません
能管も尺八も笛の内側に漆が塗られており長持ちします(洋楽の木管楽器手本等に木で作っているものは内側に何も塗っていません)
ひしぎという高い音が出せますが、ドレミファのような音階は能管では出ません。西洋の笛とは違う音階です
小鼓は簡単に分解できます。馬のおなかの皮2枚と桜の木をくりぬいて作った胴です.皮は30~40年使い込んでちゃんとした音が出るようになります.手入れが良ければ200年ぐらい使えます.皮は湿度で変わるので時々は息を吹きかけて調整します.打ち方によって4種類の音が出せます.ひもが緩く掛かっているので左手でひもを握って張ると高い音になります
大鼓の場合は、皮は10回ぐらいで使えなくなります.胴は江戸時代からのものですが。皮を固くしているので演奏すると手が痛いのですがそれは我慢するとして、公演の前には皮を火であぶります。これを焙じると言っています。焙じないと音が出ません。炭火が良いのですが、無ければ電熱器などを使います.海外などでは電圧が違うこともあり困ることもあります。.一度パリの公演で大使館が用意してくれた電熱器が爆発して煙が出て大変なことになりました(公演前だったので)。大鼓は小さく打つか大きく打つかだけです
太鼓は台に置きバチで打ちます.皮は牛の皮、同派ケヤキで鼓のようなくびれはなく膨らんだ形です。バチを高く上げて響かせないように打つのと刻んで打つ打ち方があります.打つのは真ん中に張られた2cmぐらいの鹿の革の部分だけです。.能の曲は250曲ぐらいありますが太鼓が使われるのはそのうちの100曲ぐらいで、ほとんどはクライマックスの時だけに使われます
かけ声をかけながら演奏していますが、能の場合指揮者が胃内のでお互いのかけ声でどの部分を演奏しているのか知らせあったりしてます

狂言 無布施経
実は、会場が中ホールで広かったせいか独特の言い回しのせいか、狂言師の声がよく聞き取れませんでした.話の筋は予め予習していたのですが、あまりわかりませんでした

能 紅葉狩り
紅葉狩りでは6人の女たちの赤いきれいな装束が目を引きました
話の初めは動きがあまりなく入場してくるのもゆっくりで、いっこうに話が進まずかなり退屈ですが、平維茂(たいらのこれもち)が酔いつぶれたところから急に動き始め、神の使いが現れ御神刀を授け、女たちが鬼女に変わり立ち回りをして維茂が鬼女を成敗したところで終わります
維茂が鬼神を倒して二人とも動かないなと思っているうちに、二人は立ち上がって退場してきます。後見の人が舞台道具を持って出ていきます。地謡の人たちも順に出て行って舞台には誰もいなくなりました
二人が退場したところでお能は終わりで拍手をするところだったようですが、会場のほとんどの人はそこはわからず、全員が出て行きだしてようやく拍手となりました
演劇の舞台のような幕がないので終りがわかりませんでした
開けっぴろげで舞台の片付けをしてしまうところ、不思議な光景でした