「俺が無敵になるのには、あんたが必要だってこと…忘れてないよな?」
俺はさ、潤さん。
一人じゃダメダメな奴なんだよ。
一人じゃ何も出来なくて、一気に無気力になって、未来なんてなんも見えなくなって。
それどころか今立っているこの場所ですら、一気に時空が歪むみたいにきっと。
あっという間に奈落の底に落ちていくのが手に取るように分かるんだ。
だから怖ぇんだよ。
いつだって、帰ってきてあんたがまた居なくなってたらって。
この部屋がまた、もぬけの殻になってたらって。
そんな中、あんたの幸せそうに眠る顔を見てどれだけホッとしていたか。
いつまでもガキではいられない。
俺が大人にならなければ、また同じことを繰り返す。
いくらあがいたってこの人との年の差が埋まるわけじゃないのだから。
とはいえ、地団駄を踏めばいい訳でもない。
マジでもう二度とあんたを失いたくないから。
そのためになら俺は、利口にだって馬鹿にだって、そのどちらにでもなってみせる。
「そうか、たしか俺はスター…だったよな?」
「そうだよ、潤さんは俺にとってのスター」
そっかそっかそうだったな、なんて笑いながら、潤さんは再び珈琲を濾し始めた。
そうだ、この家に入った時にこの香ばしい匂いにふっと気持ちが緩んだことを思い出した。
そして潤さんが起きてるって胸が弾んで、途端に駆け出した。
だけどこんな時間に珈琲なんて。
もしかして。
「なぁ、今夜は夜更かしでもする予定だったの?」
「……ん、まぁな」
「明日……仕事休みだったりする?」
「そうだけど……、てかおまえ晩飯は?」
「食ってきた」
「ふぅん、じゃあおまえも飲む?」
「もらおっかなぁ…あっ、」
「ん?」
「でもその前に、風呂入っていい?」
「ゆっくり入ってこいよ」
「はーい」
そう聞き分け良く返事をしてから、リビングを後にする。
そっか。
潤さん明日、仕事休みなんだ。
もしかして今夜は夜更かしして俺の帰りを待っててくれるつもりだったのかな。
だとしたら、嬉しすぎるんですけど。
つか、こんなのマジで久しぶりすぎて。
つまりこういう恋人同士みたいな甘い時間っつーの?
すげぇ心臓がバクバクしてきて、なんか吐きそう。
それに足元だってふわふわして、まるで酔ってるみてぇ。
ずっとこんな日を待ち焦がれていた。
ずっとあんたのこと抱きしめて。
そして抱きしめられたかったんだ。
潤さん。
潤さん。
俺は、あんたが好きだ。


