なーにが。
『照れた』
だよ、このムッツリが。
「じゅ…さん、も…、ソコばっか…いいってばっ、」
「なに言ってんだよ、ちゃんとほぐさないとおまえが辛いんだぞ」
久しぶりすぎて慎重になる気持ちも分かるけど、ここはもっと短絡的になるとこじゃねぇの?
それとも久しぶり過ぎて、やり方忘れちゃったとか?
いや、まさかそんなわけって…自分で言っておいてもしかして。
「潤さんまさかっ、俺と離れてる間に他の奴とヤッってたりしてねぇよなっ!?」
「はい?」
俺以外の奴っていうのは、まぁその…突き詰めて言うとあまり考えたくはないけれど…女…という可能性。
そうだよ。
潤さんってばもともとノンケなわけだし。
こんだけ俺ともすれ違い生活だったんだ。
この人は外見もパーフェクトだし、女には困らないっていうか。
いや、逆に引く手あまたなはずじゃん!
なんで俺はそういう大事なことに気付けてなかなかったんだ!
いや…別にいいんだよ。
潤さんがたまには女を抱くことがあったって。
俺だって同じ男だし、本能的な行動といえば納得もできなくもない。
そこに気持ちさえなければ、構やしないと思えなくもない。
ただ。
そこから本気になられたら、という恐怖心が常に付きまとうのは、やっぱり今の俺と潤さんの関係がどこかゆらゆらと安定していないせいなのは確かなことで。
「翔?」
「………、」
「翔、聞いてんのかよ」
「……なん、だよ…」
「なんでそんなこと言う?」
「………、」
「おーい、翔」
なかなか目を合わせることのできない俺の頬を、潤さんは無理やりむぎゅっと掴み、
「んっ、」
俺の口にその唇を押し付けてきた。
悔しくて、そこからねじ込まれた舌から逃げるようにすれば、潤さんは面白くなさそうに唇を離す。
「急になに不貞腐れてんだよ」
「……だって、」
「なぁいつ俺が誰とヤったって?」
「……だから…、」
「だから?」
「………、」
「翔くん」
突然の敬称呼びにびびって、思わず見上げてしまった潤さんの顔は俺の想像していた顔とは全然違くて。
だってそこには、疑われてめんどくせぇとか、この期に及んでなに言ってんだとか、そういう表情なんて一つもなくて。
どっちかと言えば、すげぇ嬉しそうで。
クソ。
いつだってこの人の方が俺より一枚上手だってこと、思い知らされる。
「なにに妬いてんのか知らないけど、俺が欲情すんのはおまえだけなんだからさぁ。ちゃんと受け止めてもらわないと困るからだろ?だからこうして念入りにほぐしてんのに……」
潤さんは呆れたような口ぶりでそう言うと、履いていたスウェットの紐を解き自身のソレを俺の後ろへとあてがった。
「辛かったら……言って、」
と言っても止められる自信はあんまねぇけど…なんて言葉の後に与えられた衝撃に俺は、思わずヒュッと息を吞んだ。











