多分、後遺症…なのかな。
こいつと出会った初めから、自分の気持ちをきちんと伝えてこなかった、その積み重ね。
これからもきっと、自分の気持ちを素直に伝えるなんてなかなかできないんだろうと思うけど。
だけど…少しづつでもオブラートを溶かしていけたらとも思う。
「寂しかった」
ぎゅっとしがみついてきた潤が、俺の耳元でそう呟いた。
「連絡したっていつも迷惑そうだったし、ラインだって既読スルーでさ」
「迷惑なわけ…ねーじゃん」
「いっつも忙しそうで、きっと俺のことを思い出す暇もないんだろうなって思ってた」
それで?
その寂しさを相澤くんに埋めてもらってた?
この部屋で二人で。
なぁ潤。
おまえ、何してた?
なんて…マジで俺、どうかしてる。
だけど。
どうしたって。
確かめずにはいられない。
「潤、」
「…ん?」
「抱かせて」
「は?…、だって仕事は?」
「いいから」
「え、ちょっ、」
潤が否定の言葉を口にしないうちに、玄関に靴を脱ぎ捨て、首に巻きついていた潤の腕を解いて引っ張る。
部屋の中、そしてベッドの上を見渡す。
けれど特に乱れたような形跡はなかった。
だとしたらもう…、身体しか。
潤をベッドの上になぎ倒しその上に跨り見下ろす。
両方の手首を潤の頭上に拘束し、俺のことを見上げる眼差しの美しさに、ごくりと唾をのむ。
ゆっくりと顔を下ろしていけばゆっくりと瞼を閉じるから、その唇へ触れるだけのキスをした。
何度か同じように唇を啄み、それから頬、耳、そして首筋へと降下させていく。
くすぐったいのか、肩をすくめながら頬を赤らめる姿にクラクラと眩暈がした。
だけどそんな簡単なことで相澤くんとの疑いを晴らすわけにはいかないと、くんくんと鼻を鳴らして探るけど、いつもの潤の匂い以外は何も感じなかった。
でもまだ分かんねぇじゃん。
匂いとかじゃなくてもっと直接的な何かがあるかもしんねぇし。
そんなことを頭の中で呟きながら拘束していた手首を緩めて、その代わりにシャツをたくし上げた。
視界に入ったのは、真っ白な肌にピンク色の突起と、そこに付属する黒子くらいで。
キスマークの一つぐらいはあるかと思ったのに。
マーキング…的な何か。
もしかして。
もしかする?
そりゃ、男女じゃないけど今までそういう関係だった二人が同じ家の中にいて。
そういうことがなかったというなら、マジでなにしてたんだよって話。
そのまま突 起を舌で突ついて、ちゅっと吸い上げれば「う…」なんてうめき声。
そして、
「しょ…ぉ」
って舌足らずな声で俺の名前を呼ぶ。
いつもみたいに俺の髪をくしゃりと掴んで、まるでもっとしてとでも言ってるみたいに。
それなのに、
「し…ごと…は?いいの?」
なんて。
そんなセリフ、今の俺にとっちゃ早く戻れと催促されてるみたいで…すげぇムカツクんだけど。
「潤は…?俺が仕事に戻っちゃってもいいの?」
小さめの粒をグリグリと指で押しつぶしながら耳元でそう囁けば、ぎゅっと目を閉じて首を横に振る。
そして俺の両頬を冷たい手のひらが包み込み、ゆっくりと引き寄せられた。
「ん…、」
合わさる唇はまじで柔らかくて、ほんのり暖かい。
ペロリと舌を這わせると小さい隙間ができるから、中へとねじ込んだ舌先で潤の先端を探す。
そしてすぐに探し当てたそれに容赦なく絡めていく。
「んん…っ、」
「ふ、」
「しょ…、」
「…ん、?」
ぎゅっと瞑られていたはずの潤の瞳は、いつのまにかうっすら開いていて、頬は赤く上気している。
可愛い…とか言ったら怒るかな。
男だし。
「戻んないで…、ずっとここにいて、」
あぁもう本当に。
聞いた俺も俺だけどさぁ。
俺の気持ちこれ以上掴んで離さないのどうにかして。