★神の栄光と人類奉仕のために旧居留地に建つ
病院と看護大学の「心臓」★
場所・ 東京都中央区明石10-1
電話・ 03-5550-7043
竣工・ 昭和11年(1936)
設計・ J.V.W.バーガミニ
構造・ 鉄筋コンクリート造り
見学・ 随時 HPあり
最終訪問・ 2011.04
東京都中央区、銀座から築地方面へおよそ1キロ
築地川公園に面して建つ聖路加看護大学校舎の中央にひときわ高く見える尖塔が、聖路加(せいるか)国際病院のチャペルです
道路を挟んで隣接する新病院棟とは、建物の2階から道路上のブリッジでつながっています
ここはかつて築地居留地でした
赤穂浪士で有名な浅野家の江戸上屋敷と九州の中津江戸中屋敷が隣接し、後者で「蘭学事始」が訳出出版され、のちに同藩出身の福沢諭吉慶応義塾を開塾した場所でもあります
この地にあった立教学校の跡地に、米国聖公会の医療ミッションによる築地病院が開設されたのは、明治29年(1896)のことです
この病院は3年後にいったん閉鎖となりますが、翌明治33年(1900)、第4代目の米国聖公会宣教医師としてルドルフ・ボーリング・トイスラーが来日します
トイスラーは約1年の準備期間をおいて明治34年(1901)1月に佃島に聖アンデレ診療所を開設し、ほどなくして閉鎖中の築地病院の名前を聖路加病院と改称して診療を再開、初代院長に就任しました
米国聖公会の長期に渡る人的・経済的支援とともに、皇室や政府のバックアップを受けた病院は、敷地や設備を拡張しながら我が国初めての近代病院として整備されていくことになります
大正6年(1917)には病院名を聖路加国際病院に改称、大正9年(1920)に附属高等看護学校(現・聖路加看護大学)を設立しました
同じ年、病院内におかれた小礼拝堂に日本人の専従礼拝堂つき牧師(チャプレン)が就任し、我が国における病院付き牧師の草分けとなります
大正12年(1923)の関東大震災、それに続く病院火災で建物を失いますが、各界からの援助で再建を果たします
最初に独立した礼拝堂が建設されたのは大正14年(1925)のことで、病院本館中央に位置する現在のチャペルは昭和9年(1934)8月起工、2年後の昭和11年(1936)に聖別式が行われました
同じ年、財団法人聖路加国際メディカルセンターを設立しています
第2次大戦中は「大東亜中央病院」への改称を強いられ、棟屋の十字架も撤去させられましたが、その間にも、毎朝礼拝堂では竹田チャプレン夫妻による祈りが捧げられていました
空襲の被害をまぬがれた病院は、敗戦後GHQに接収され、礼拝堂ではカトリック、プロテスタント、ユダヤ教など様々な宗派の礼拝が行われました
建物が返還されたのは昭和29年(1954)のことです
昭和36年(1961)には外来棟が竣工、1992年に新病院が完成
キリスト教精神の下に、患者中心の医療と看護を行う都内有数の総合病院として機能しています
チャペルでの礼拝に集うのは、病院や外来の教職員をはじめ、入院や外来の患者、近隣に住む者、病院の人や場を通して交わりを持った人々が中心です
しだいに固定の会衆が増えた結果、昭和36年(1961)以降は一般の教会と同じように、教籍(信徒の住民票に相当するもの)を置くことが可能となりました
常勤1名、非常勤3名のチャプレンは、患者やその家族、職員などの種々の訪問者の話を聞き、共に祈るのを主な働きとしています
病室を回って病床聖餐式を行ったり、死期の迫った患者にキリスト教の死生観を伝えるのも大きな仕事の一つです
「地上での生の終わりが人の生涯の終わりではありません。その人の魂は神の御許にあって永遠に安らぐことができる、それを伝えられれば」と語るチャプレン
キャンドルが光を投げかける建物の天井と壁は抗火石張り、柱には人造石が使われています
繊細な色調のステンドグラスは、英国ぺリキントン製で、特別に実物大の図を送って作らせたものでした
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東京の海岸部にもかつては居留地があったとは初耳でした
だからこの辺はこういうキリスト系の施設があって、空襲を逃れることができたのですね
この病院も120年以上の歴史のある教会が元になっているとは、、、
そして福沢諭吉の塾が最初に開かれた場所だとは、、、
(立教や青学などMARCH系のミッション系の学校の開かれた地)
けっこう色々な歴史の舞台となった場所なのですね、今では湾岸の高層マンションが建ち並んで海風をふさいで東京の夏を炎上させてしまっていますが
戦時中は色々と干渉されて大変でしたが、存続できて良かったですね
キリスト教の病院に教会は付き物なのでこれからも現役で大事にされて行ってほしいですね
洋館・教会・病院建築好きの方にもオススメです(^^♪
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★「トイスラー記念館」
場所・ 東京都中央区明石町10
竣工・ 昭和8年(1933)
設計・ J.バーガミニ A.レーモンド(初代院長)
構造・ 木造2階建て
最終訪問・ 2011.04
東京都中央区、東京湾に面した明石町の「聖路加国際病院」の中にあります
「キリスト教の愛の心が、人の悩みを救うために働けば、苦しみは消えて、その人は生まれ変わったようになる。
この偉大な愛の力を、誰でもがすぐわかるように表して生きて働くのがこの病院でありたい」
(R.B.トイスラー)
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この可愛い洋館の周りは大きな病院棟や大型マンションが建ち並び、囲まれた感があります
その中でもしっかりと残って来て嬉しいですね
せっかくの外人有名建築家のコラボなのでこれからも現役で大事にされて行ってほしいですね
洋館・レーモンド・バーガミニ好きの方にもオススメです(^^♪