★川港、繊維産業、在郷町として発展した商店街★
場所・ 新潟県新潟市秋葉区小須戸
電話・ 090-6199-3921(村井)
竣工・ 明治時34年(1901)の大火以降
構造・ 木造2階建て 町家造り
最終訪問・ 2017.06 再訪
新潟市秋葉区の信濃川沿いにある川港、在郷町です
江戸時代の小須戸は新発田藩に属し、藩は領内を支配するため、いくつかの「組」に編成しました
小須戸は当初、新津組に属していましたが、慶安2年(1649)頃に新津組から分離し、23か村から構成される「小須戸組」が成立しました
このことからこの頃には、小須戸は周辺農村の中心地であったと考えられます
町立ての時期は六斎市が宝永年間(1704~1710)に開かれたと言われており、少なくともこの時期には町として成立していたのではないかと推測されます
町立て以降、周辺農村の生産力の向上と交通路の要地という理由から、町は次第に発展していきました
信濃川右岸に位置する小須戸は江戸時代から昭和初期まで、信濃川の川港としての役割を果たし発展して来ました
年貢米等、物資の集積地の他、長岡~新潟間の蒸気船の着船地となるなど、江戸、明治時代に繁栄を極めました
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現在の商店街通りは江戸時代には町家が建ち並んでおり、現在も通り沿いには築100年を超える町家が多く残ります
通りの両側に町家が建ち並んでいるのが小須戸の町並みの特徴で、その景観は全国的にもまれで貴重(言い過ぎ)とされています
町割りはもっとも上流側に庄屋の屋敷が置かれ、下流に向かって「上町」「中町」「下町」と呼ばれる町が形成されています
さらに、この南北の街道に対して、直角に街道(新保街道)が延びて「横町」が配置されています
町を歩くと、小路を示す看板板に多く出会います
「町家ギャラリー薩摩屋」等でもらえるまちあるきマップを片手に、小路名の由来を考えながら歩くのも楽しいです
馬の供養のために建てられた馬頭観音、水上安全を祈った金毘羅堂他、川湊の名残を感じるスポットも点在しています
アーケードの雁木は県内の商店街に多く残る 雪対策
小須戸の町並みの価値は明治時代から変わらぬ町の骨格と経済的な繁栄から来る良い材料や技術を使った質の高い町家、道の両側に集中して残る町家、外観の継承、在郷町としての環境が揃い蒲原平野を代表する町並です
町家を活かした小須戸のまちつくりの本格始動は2009年の「水と土の芸術祭」
空き店舗の町家を改修・公開し、芸術祭の後は「町家ギャラリー薩摩屋」として町歩きや地域の歴史・文化の発信拠点として活用してきました
のこぎり屋根の残る旧織物工場
2013年は町家を改装した「町家カフェわかば」「あかり庵」、2014年は「カフェゲオルク」がオープン
散策や食事を楽しみに、地域外からも多くの人が訪れるようになりました
旧織物工場にも雁木が
2014年秋には、別の町家の2階をシェアハウスにして1階部分を公開する「住み開き」が始まったそう
京都まで行かなくても新潟市内で町家に住めるなんて良いですね
古い町並みの中に新しい風が吹く小須戸は、今、注目のスポットです
★小須戸縞とボケの花
小須戸は機織りが盛んな地域で、江戸時代には42%が機織りを行っていたと記録されています
その始まりは、享和元年(1801)と言われています
新潟市内2大織物産業の一つ 「小須戸縞」
明治に入ると、産量は飛躍的に伸びていき、明治32年(1899)には、町の機織関係者により「小須戸物産組合」が結成されました
小須戸の木綿縞は上質な点で評価を受け「小須戸縞」として県内外に広まり、県内では亀田(新潟市江南区)に次ぐ産地となりました(こちらは亀田縞)
しかし、大正12年(1923)の関東大震災を境に、生産は落ち込んでいき、大正期には200戸あった機業戸数も、昭和5年(1930)には40戸程度に減少していきました
町の2大菩提寺 金毘羅様も 重文「子育て地蔵」も
路地裏には当時ののこぎり屋根のメリヤス工場の建物や長屋が鄙びた姿で残っています
「つげ家」だらけで私は楽しかったです(しかもほぼ貸切)
現在では日本有数の花卉(かき)産地としてボケの栽培では日本の約80%のシェアがあります
★町家カフェわかば 数日前にUP済
地元の豆腐店や醸造所の食材を使ったランチやスイーツが人気です
醤油麹をデミグラスソースに使ったオムライス、地元豆腐店の豆乳から作ったソフトクリームなど、小須戸ならではのメニューに出会えます
町家の居間は小上がりに、通り土間は小物販売のスペースに改装
場所・ 新潟市秋葉区小須戸3602 Pは第四銀行へ
電話・ 0250-38-1828
営業・ 10~16時(ランチ11~14時)(月)休み
★あかり庵 数日前にUP済
元は菜種油油店だった築120年の町家を改装し、食事処に
骨董の箪笥や小物が飾られ、町家の風情と相まって心落ち着く空間が広がります
夜はおつまみや酒、平日の昼はカレーやパスタを味わえます
場所・ 新潟市秋葉区小須戸3617 P4台
電話・ 080-6255-3938
営業・ 11~14時 17~22時 (月)第2(火)休み
町並み全体は「町家ギャラリー薩摩屋」「雛の町家」を見学しても1時間もあれば町並み全体を歩き周ることが出来ます
まだ知られざる町並みのため私が行ったときは日曜でも誰も歩いていませんでした(県内でも知られてないと思う)
この中心商店街自体に人が住んでいないようです
これは他の地方の商店街でもそうなんだろうなあ
空いた町家に現在、「住み開き」といって、住民募集中です
でも、寒い新潟、古い家屋を住めるように改装するには相当の修理費用が必要なのがネック
なので、秋葉区や新潟市から補助でもでないと難しそう
いきなり物件を購入して「住む」というのは難しいので、とりあえず町家を活用したゲストハウスで交流人口を増やしたり、市や区で町屋を住めるように整備した上で、家賃5万円(新潟市の古い一軒家の相場)ぐらいで賃貸にすればもっと気軽に住めそうです
周辺の温泉に来られた際にでも、ご興味を持たれた方はぜひ来てみて下さいね
町並み・町家・町歩き好きの方にもオススメです(^^♪