最近の旅行では新幹線を利用することがほとんどです。
新幹線の中では、本や雑誌を読んだり昼寝をして時間をつぶすことが大半で、外の景色を眺める
ことはほとんどありません。
学生時代は旅行が好きでいろいろなところへ旅をしました。鈍行を乗り継ぎ、日本の美しい風景を
楽しんだものです。日暮れどき、遠くにぽつりと見える灯りを車窓から眺めながら、灯りの下で家族
が食卓を囲む姿を想像しました。「こんな寂しいところにも生活があり、さまざまな人生を抱え、
日々暮らしている人がいるんだ」などと思ったものです。
今では一刻も早く目的地へ行きたいということを優先して、鈍行の旅を楽しむことはなくなりまし
た。そして気がつけば、新幹線の車窓からは、人々の生活の匂いを感じなくなっていました。その
ことに気づいたとき、先へ急ぐあまり、私は何かを失った気がしました。
当時と違い時間の余裕がない今では、やむを得ないことかもしれませんが寂しいかぎりです。
もちろん、旅行の目的や楽しみ方には違いがあるので一概には言えませんが、効率的でスピー
ディーであることだけを優先していることを否めません。
今は旅行するときは、今日どんな人と出会い、どんなんものを見て、何を感じるのかと考え、今日
しか出会えない旅をしようと割り切って考えるようにしています。