曖昧のかたまり -4ページ目

曖昧のかたまり

日々おこることは運命ということにしておこう

お腹がすくのは、悲しいからじゃない。

彼女の両親はアメリカと韓国なのに、何故かバンド名が『Japanese breakfast』、そのボーカルであるミシェルザウナーの著書『Hマートで泣きながら』。
母親を癌で亡くした彼女の心の成長の話。
自分がもしハーフだったとしたら、ルーツである国や文化についてどんなふうに感じただろうか、そんなことを考えながら読んでいた。
そして突然母の病気を知らされ、亡くなるまで幾度となく回復を願い期待しては絶望してきた
その日々に、衰弱していく母親にしてあげられることが次第になくなっていく中でジタバタする彼女の言動に涙なくして読み進めるのは不可能に近かった。

母親を亡くしてからは、それまで母を通して韓国とつながっていたと感じていた彼女は、喪失感から抜け出し、再び韓国と繋がるために韓国料理を作るようになる。これが読者のお腹を鳴らすのだけど、私は不思議とそうはならず、彼女がしっかりと足場を固めていく過程を見ているようで、じんわり心が満たされていく感覚だった。

なかなかミュージシャンとして芽が出なかったのに、母の死からほどなくして成功したようで、その姿を母にみせたかったと語っている。この作品を読み終え、彼女の音楽が気になったのでYouTubeで検索してみると、クランベリーズの『dreams』をカバーする彼女のバンドの動画があった。ミシェルは個性的なファッションに身を包み、個人的にイメージするアジア人ならではのアンニュイな雰囲気をまとった素敵な女性だった。
そういえば、つい先日、恋する惑星で夢中人を聴いたことを思い出した。あぁ、音楽は時代や国を超えて繋がるものなのだなと改めて実感した。アイリッシュ音楽ってなんだか切なくてしなやかな強さを感じるんだけど、それがまたマッチしてるんだよね。

ミシェルのオンマもきっと、あなたのカバーも素敵ね!と言ってくれてるに違いない。