悪ガキ物語~第5章 悪ガキ達の事件簿~その① | 子ども達と自然に暮らそ!

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【第5章 悪ガキ達の事件簿】

~そして現在~

庭には悪ガキ達が毎日のように来るようになっていました。

はじめこそ、

「あいつらなんか来なければいいのに・・・」

と言っていた近所の子達も、

次第に彼らが居ることで、

遊びが刺激的で面白くなることを体感していました。

いつしか、

「早くあいつら来ないかな・・・」

と、言うようになっていったのです。

彼らがいないと、なんだか盛り上がらないんです。

悪ガキ達は、普通の子ども達では考えつかないような事を考えます。

どじょうすくいをしたと思えば、



たき火で焼いて食べたり、

野菜を買い込んでは、味噌汁作るし、



輪ゴムと木の枝で魚を捕まえるモリを作ったり、

秘密基地を作ったり、

自分たちでターザンロープ作るし、



自分達で遊びを考え出す天才でした。

普段遊んでいる遊びじゃない!

他の子ども達もワクワクして

うちに集まるようになっていました。

しかし、常識が通用しない悪ガキ達のことです。

次々と事件を起こすのでした。


本当に様々な事件が起こりました。

1 さよなら、ぴーくん事件

2 火おこし事件

3 悪ガキ達のけんか 

などなど・・・

書き上げたらきりがないけれど、

事件のごくごく一部を紹介しましょう。

1.さよならぴーくん事件

いつものように庭に遊びに来ていた子ども達。

夕方になり、犬の散歩の時間になったので、

「散歩行くよ~」

というと、

「俺たちも行く!!」

一匹ずつ犬のリードを持ち、走っていく悪ガキ達。

私と息子と、隣のゆうちゃんは

走っていく悪ガキ達の後を追うことに。

しばらく行くと、晃とゆうちゃんが、

水路の中に何かを見つけたようです。

この頃の水路は、稲刈りも終わっっていたので、

水を止めていて、水路には水がなかったのだけれど、

なにかいる!

そう思ったときの悪ガキ達の連係プレーはさすがです。

犬を私にあずけ、素早く水路に入っていきます。

「そっちに追い込め!」

「おれが追い込むから、おまえつかまえろ!」

ものの数分でつかまえたのは傷ついたスズメ。

「おれたち先に帰ってるから~」

と言って、犬を置いてうちに帰る悪ガキ達。

私が散歩から帰ってみると、

珍しがって

みんなで代わる代わるスズメをにぎっていました。


「弱ってるから、握って遊んでちゃダメだよ!

そっとしといてやらないと。」

「箱あげるから、箱に入れといてあげな」

「小屋に入れとくから大丈夫!」

「お母さん、えさない?」と、悪ガキ達。

たまたま、釣り用に

冷凍庫に保管していたミルワームがあったので、

それを刻んで、ピンセットと共に子供達に預ける。



ひとまず、エサをやり終えると、

それでもボスだけは、

「おい!握ってあそぶな!小屋に入れとけ」

と仲間に声をかけていたようでした。

そのうち、違う遊びをし始めた子供達と、

時々小屋に入ってスズメをいじる子供・・・

その日は、もう夕方だったこともあり、

「お母さん、ぴーくんおねがいね。誰にも触らせないでね!」

と言うボス。

「え?うちに置いていくの?」

そう思ったときには、走り去る子供達。

仕方がないので、その日は、

箱の中にホッカイロとタオルを入れて、

保温した箱に入れ、

数時間おきに口の中にミルワームを押し込み、

水をスポイトであげ、世話をしました。

翌朝には元気になって、

箱から飛び出して飛んで逃げるほどに回復したスズメ。

箱だと世話しにくいので、

鳥かごを買ってきて、そのなかにぴーくんを入れておいて、

私は仕事に出かけました。



仕事から帰ってくると、子供達が庭で遊んでいた。

「ぴーくんは!」

と思い、うちに入ると、

かごに入れておいたはずのぴーくんがいない!

彼らがまた持ち出したのだ。

「まだ、やっとえさ食べられるようになったばっかりだから
かごに入れてそっとしといてあげな」と言っても、

彼らは「小屋に入れておいてるから大丈夫!」

と、相手にしない。

遊びながら時々小屋に行っては

ぴーくんをにぎりしめる子供達。

私もあきらめ、

家の中に入ってお昼ご飯の支度をし始めました。

しばらくすると、ボスが入ってきて、

「おかあさん、ぴーくん様子が変だよ!」

と言って、スズメを手の中にそっと包んで持ってきました。

見ると、スズメは虫の息に。

あわててスポイトでくちばしに水をつけてあげたり、

心臓をこすってやったり、

エサを口に押し込んでみたりしましたが、

数分後には動かなくなってしまいました。

「ジャイアンが飛ぶ練習だ!って言って、
何回も小屋の上から投げてたんだよ」

「おれ、やめろって言ったのに、あいつ、
大丈夫って、やめなかったんだよ!」と、ボス。

「ジャイアンは?」と、聞くと、

「あいつ、お昼だから家帰った。」と、ボス。

「これは、後で、自分がやった責任を取らなきゃダメだ」

私はそうつぶやいた。

午後になり、何食わぬ顔でやって来たじゃジャイアン。

何事もなかったかのように遊び始めます。

「あれ、ぴーくんは?」

「死んじゃったよ」

「え・・・」

そのまま知らないふりして遊び始めようとするジャイアン。

「ちょっとまって。あなたには、
自分がやったことの責任をとってもらわなきゃならないんだよ。」


そう言って、ジャイアンの手に、

冷たくなって固まったぴーくんを乗せました。

目をそむけて行こうとするジャイアンの肩を抑え、

ゆっくり話しました。

「まだぴーくんは、飛べるほど元気になってなかったんだよ。

やっとご飯食べられるようになったばっかりだったんだよ。

もっと、飛びたかったんだよ。もっと生きたかったんだよ。

あんたが、何度も放り投げて遊んでたせいで死んじゃったんだよ。

あんたがぴーくんの命を奪ったんだよ。」

「ちゃんとこの子を、穴掘って、土に返してあげなさい。」

そう言って、スコップを渡しました。

すると、だまって庭の片隅に穴を掘り始めるジャイアン。

その様子を遠巻きにながめるボス。

ぴーくんを埋め終わると、ボスもそばに行き、

近くから木ぎれを持ってきて、なにやら作り始めます。

どうやらお墓を作っているようです。

「おかあさん、書く物ちょうだい!」

そう言って、木ぎれになにやら書き始めました。見ると、

「ぴーくん、ありがとう。」

と、書いてあります。

ごめんね、でなく、ありがとうと。

そこにいた子供達一人ずつ書いていって、

最後に、「お母さんも書いて」ってペンを渡されました。

私は、

「ぴーくん、短い間だったけど、
子供達に命の大切さをおしえてくれてありがとう。」

と書きました。

ジャイアン、ボス、スネ夫、順番にぴーくんのお墓をおがみ、

私も最後に手を合わせました。

そのあとスネ夫がひと言。

「お彼岸とか、おだんごあげて拝もうね。」

すずめにおだんごですか・・・(笑)。



それから何ヶ月か経った春、

庭でワケギを摘んでいると、ボスが言いました。

「それって、ぴーくんのおかげだよね」って。

つまり、ぴーくんの体が土に帰り、

栄養となり、ワケギが育ったのだと認識したようでした。

命の循環を体験した彼らでした。