【人にも環境にも優しい街フライブルグ】
昨日に引き続き、
息子の写真から、足跡をたどりつつ、
今日もフライブルグをもう少し紹介します。
フライブルグは、
『循環型で持続可能な将来性のある自治体』
といわれています。
第二次世界大戦後、市街地の80%を失い、
街並みの再復興として、環境都市を作ることを選択しました。
その大きな政策として、
①公共交通機関の拡張
②自転車交通の推進
③カーシェアリング
④省エネルギー&自然エネルギーの推進
⑤緑化
⑥環境教育
があります。
①公共交通機関の拡張と市街地への車の乗り入れの規制
「パーク&ライド」というシステムがあり、
市外から来た人を市内に乗り入れさせず、
市外の駐車場に無料で停めさせ、
トラムなどの公共交通機関で行き来させるシステムです。
トラムの始発駅前に大きな駐車場があります。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
写真の両脇に上がオレンジ色のポールが二本あるのが分かりますか?
これが、市街地への車の乗り入れゲートで、
ゲートの真ん中に、小さな円柱状の突起があり、
車の進入を阻みます。
専用のカードリーダーに、
専用のカードを入れることで、この突起が下に下がり、通行できるようになります。
簡単に乗り入れさせないことで、
車の乗り入れ規制をしているわけです。
②自転車交通の促進
街には自転車専用道路があるため、思いっきり走れます。
駐車場だったところも駐輪場に作り替えられたりして、
自転車のほうが便利です。
そして、市内の住宅街は30キロ規制や、
場所によっては5~7キロに規制しているところもあり、
断然自転車のほうが早いのです。、
子どもが遊ぶ道路では速度を緩めなさい、という標識があります。
大きな駐輪場
小さな子を乗せる、こんな自転車も。
③カーシェアリング
年間1万キロ程度しか走らない人であれば、
購入費、保険代、駐車場の料金を考えると、
カーシェアリングのほうが経済的になります。
フォルックスワーゲンやBMWでも、
1分20~29セント(20円から29円)程度と、気軽に借りれるシステムがあります。
個人の車を登録制でカーシェアリングする、というシステムもあるようです。
④省エネルギー&自然エネルギーの推進
コジェネレーションシステムという、
一つの燃料から、2つのエネルギーを生み出すという
システムがあります。
ごみの埋め立て地から出るメタンガスを燃やして、
発電と、地域への熱供給をまかなったり、
木質バイオマスシステムや、
水素に天然ガスを添加することで、
人工的にメタンガスを作り、
発電して余った電気で水を電気分解して
また水素を作ります。
こうして水から取り出せる水素は80%で、
残りの20%は、廃熱として、地域へ温水として回しています。
⑤緑化
ヴォーバンという地区は、市民との話し合いが何度も持たれて、
市民の合意のもとに作られた住宅地。
地区の隅に駐車場を設け、
各家庭にカーポートはありません。
そのおかげで、街の中では子ども達も安心して歩けます。
住宅地の中にはビオトープを兼ねた自然なままの小川が流れ、
住宅地が緑の帯でつながるように計画されています。
また、緑の里親制度もあり、地域の樹木を、住民が管理することで、
自治体のメンテナンスコストを削減します。
緑化のために、
家庭の庭木であっても、勝手に切ってはいけないそうです。
近くを通るトラムも、
騒音対策ということもあり、
レール周りに芝を敷き詰めることで、
音も静かです。
こんなツリーハウスや
公園には共同で使えるピザ釜も。
住宅地の間にはこんな緑化スペースも。
⑥環境教育
もう一つ重要なのが環境教育。
ごみの分別も、各家庭で有料のごみ箱を購入。
紙やプラスチックとその他のものと分別もしっかりしています。
生ごみは家庭で、コンポストなどで処理することを推進しています。
変わったシステムとしては、
赤ちゃんのおむつを布おむつにした証明書を発行してもらうと、
赤ちゃん一人当たり50ユーロ(6600円くらい)の助成金があるそうです。
赤ちゃんがいる家庭ではうれしいですよね!
そして、子ども達への自然教育を担うための
エコステーションがあります。
ドイツ環境自然保護連盟(BUND)が運営している施設です。
勇気菜園を備えた低エネルギーハウスで、果物や野菜、ハーブを育て、
それらについて学び、
池や土に住む生き物を観察できます。
子ども冒険農場での乗馬もあります。
こうして、子どもへの環境教育で、
これからの子ども達へ、大切なことを伝え、
街を上げて環境問題に取り組む、
そんな街づくり、
やろうと思えばできるじゃない!!
と、
息子の放浪記を書きながら、
再び熱い想いが沸き上がるのでした。
放浪記はまだまだ続きます。