おはようございます。
そのビジネスの入り口から出口まで。
売上作りを裏から支える専門家
クロコスタイルのウスイです。
起業している人の多くが
何かしらビジネスについて
誰かから、またはどこからか、
学んでいるかと思います。
個人起業家が生計を立てていくにあたって
もはや一般常識となっているのが
「高単価商品を持ちましょう」というもの。
大量生産・大量販売のできる大企業とは違い
個人起業家は使えるお金も時間も人も少ない。
だから、安い商品ばかりでは
労力に見合った収益が得られないので
どんなに実力があろうと
どんなにすばらしい人格者でも
そのうちビジネスを続けられなくなります。
ただ、安売りにも例外もあり
新しい商品の反応を見たいがための
テストマーケティングであったり
まずは知ってもらうための呼び水として
バラまく撒き餌的な商品など
目的があって、計画的に安くしているなら
特に大きな問題にはなりません。
怖いのは安易な安売りです。
自信が無くて、高単価に出来ない
という人もいるかと思いますが
そこは解消できる問題でもあるので
高単価以前の話として
まずは値決めについての基礎知識
それに興味のある方は
参考までにこちらの記事をご覧下さい。
値決めに自信のない起業家さんは、少し気が楽になるかもしれない話
安易な安売りって本当に怖いものですが
なぜそう思うかというと、
それは僕の過去の大きな失敗が
今でも記憶に刻まれた傷になっているからです。
ラーメン屋さんを始めて約一年後の話。
これからお伝えするこの話は
僕が自らお店を倒産へと追い込んでしまった
引き金的原因の一つとなった話です。
この話をする前に
抑えておいてほしいキーワードがあります。
実は、お店とお客様では
「ある感覚」が大きくずれています。
それが「認知度」
お店を始めて1年も経てば
そろそろ知らない人もいなくなっただろう。
飲食店は基本、
毎日同じルーティーン作業のため
日々同じ業務に追われていたこともあってか
そういう感覚に陥りました。
なぜかと言うと
そこそこお客様は来てくれている。
週末は、まあまあ忙しいし
冗談が言い合える常連さんも増えた。
定期的にチラシを入れたり
クーポン誌に掲載したりもしてる。
ホームページだって作ったし
Facebookでも宣伝してる。
今思えば、当時は本当に無知でしたが
狭い世界の中で生きてきたこともあり
錯覚してもしかたない環境は揃っていました。
しかし、ご来店頂いたお客様といえば
すでに来たことある人がほとんどで
あとは
お店の前を通ってお店の存在を知ってる人
人伝えになんとなく聞いて知っている人
それくらいです。
よく考えると
ビックリするくらい知られていない。
これが悲しい現実です。
お店は立地が重要
と、よく言われるのは
通りの多い場所に出店するだけで
宣伝効果があるから。
看板など立てなくても
ラーメン屋ならお店の外観で
なんとなくわかるものです。
のれんも出てますしね。
でも、一歩路地を入った場所や
少しわかりにくい場所だと
その効果が期待しにくい。
つまり、
お店を知ってる人が
激減するということ。
正しくは、激減というより
そもそも知られていない
という状態。
だから、集客が必要になります。
しかしこの時、
僕は大きな間違いを犯しました。
これまで1000円以上だった客単価が
自分でも気付かないうちに
1000円を割り込んでしまったのです。
その理由は
集客方法の間違った選択をしたから。
引き金となったのは
ランチパスポート
(通称ランパス)というもの。
一時期、テレビや雑誌でも取り上げられ
特に、ランチをお得に済ませたい
サラリーマンの間で話題となりました。
もしかしたら、
あなたも知っているかもしれませんね。
ランチパスポートVol.1の発行は
僕のお店の地域では2014年3月。
この本の発売当時というのは
お店をオープンしてちょうど一年後。
客足が落ち着き、というより
集客に悩んでいた時期でした。
そんな時に
ランチパスポートの発刊があるというので
興奮して、掲載をお願いしたものです。
なぜ興奮したかというと
掲載費がタダだったから。
掲載条件は、750円以上の品物で
メイン料理を一品
500円で出して欲しいということ
ただそれだけ。
通常、こういった雑誌掲載には
取材依頼などの場合を除き
掲載費用が結構かかります。
一回掲載数万円から
年間誌の掲載契約だと数十万とか。
その費用がかからないというのは
お店としては経費をかけずに
宣伝が出来るということ。
出版社の裏側の思惑も考えず
飛びついていました。
そしてその盲目状態のまま
Vol.1~3まで正味約9ヶ月
インターバルを挟んで
ちょうど一年間、掲載をしました。
しかし、それが仇となり、
この後、ゆっくりじわじわと
自分の首を絞めていくことになります。
裏側のからくりを知らず
気付いた時には、お店がかなり
ヤバい状態になっていました。
掲載期間スタート後
ランパスの威力はそれはもう
かなり凄まじいものでした。
ランチタイムの開店前から
お客様が並んでいるという状態。
久しぶりの繁盛モード。
嬉しい悲鳴に、手応えを感じ、
店内に活気が戻ったことを
ただ純粋に喜んでいました。
開始から2カ月半。
初めてのランパス期間が
興奮冷めやらぬまま終了。
そこで浮かび上がる疑問。
売上はそこそこ上がってきたのに
なぜかお店にお金が残らない。
無知だった僕は
3つの選択ミスをします。
その1つ目がこれ
こんなに来てくれるなら
ランチだけでなくディナーも対応しよう!
そして2つ目
数量限定もなしでいこう!
まず、この2つのミスを犯しました。
実は、ランパスは
ランチパスポートというのは名ばかりで
ランチタイムだけでなく
ディナータイム、あるいは通し営業で
対応してもいいことになっていました。
これは、お店の判断に一任するもの。
出版社的には何の痛手もありません。
1回目のランパス期間中は
ランチのみ、数量限定で提供していました。
しかし、予定数量を終えた後も
お客様が本を手に来店するので
予定数終了にて丁寧にお断りすると
別の店に行くと言って、
食べずに帰るということが多々発生。
売上が欲しかった僕は
その決断をすることになりました。
2回目のランパス期間
ランチだけでなく、ディナーも対応。
さらに数量制限なし。
そうるすることで、昼も夜も
本を手にしたお客様が来店しました。
ただ、予想よりも客数が伸びない。
しかし、この原因に気付いたのは
もっと後のこと。
ここで僕は、
3つ目の選択ミスをします。
2回目に客数が伸びなかったのは
お得感が足りなかったんじゃないか?
そう考え、出版社の決まりとしては
750円以上であればいいものを
提供商品を単品商品ではなく
セットメニューに変更し
通常価格、約1000円のメニューを
ランパス対象メニューとしました。
この考えは当たり
3回目のランパス期間は
かなり客数が増えました。
この時、タイミングを同じくして
他の売上施策と
集客対策も行っていたこともあり
売上と客数自体は、
お店のオープン当時と同じくらいにまで
復調していました。
なのに、
なぜか経営が楽にならない。
1人ではどうにも原因がわからず
かなり悩みましたが、
初めてラーメン屋専門の
コンサルタントに相談しました。
そして、自分が全然
予想していなかった問題に愕然とし
ランパス掲載を終了することとなったのです。
もしかすると、
ここまでの話を読んで
あなたはその理由に
お気付きになったかもしれません。
状況を整理すると、僕の選択ミスは
①ランチ以外も対応したこと
②数量限定を解除したこと
③セットメニューへの提供に変更し
お得感を上げたこと
お客様目線で見ると
これはかなりお得な商品だというのが
簡単にわかります。
じゃあ、お店側はというと
お得感を上げるということは
値引き率を上げるということ。
つまり、
1品当たりの利益がガクンと減る
ってことです。
数量限定解除は
その商品が注文されればされるほど
利益が減り続けるということ。
そして、ランチ以外の対応は
その利益が下がる状態を自ら増やし
続けているということ。
ラーメン屋の原価は
提供する商品と
店の規模や状況によりますが
大体30%くらいです。
単純計算ですが
仮に1000円の商品であれば
原価は300円。
利益は700円です。
ここでいう利益とは粗利益といって
単純に材料費を抜いたもの。
ここから、人件費、経費など
もろもろ引かれます。
さて
約1000円のメニューを
ランパス期間中は
500円で提供しています。
原価は変わりませんから
単純に粗利益が200円となります。
この時点で、
なんかヤバそうな感じしますよね。
全てのメニューが、
ランパス対応ではないとはいえ
その影響が大きいのは
目に見えてわかります。
そして実は、本当の問題は
このこと以外にありました。
ランパス期間中は前述のとおり
かなり忙しくなるため
一見すると店内は繁盛店さながら。
しかし、その顔触れはというと
初めて見るお客様が多く
リピーターも最近見た人ばかり。
ランパスは同じ店で
3回まで使用可能なため
3回まではご来店して頂けます。
その一方で、今まで来ていた常連さんが
いつの間にか減っていることに気付く。
気付きはしましたが、忙殺されすぎて、
この時すでに手遅れの状態でした。
ゆっくり食事をしたい方や
いつも来てくれていた常連さんが
落ち着いて食事できない。
スタッフとの会話を楽しみに
食べに来て頂いてる常連さんも
この期間は慌ただしすぎて話も出来ない。
他にも
通常来店のお客様が自分と同じような商品を
ランパス利用者は格安で食べているのが
どうも気に入らない人もいる。
こういった状態が、
僕の気付かない裏側で起こっていました。
そして、期間終了後。
大量に押し寄せていたお客様が
忽然と姿を消します。
いつも来てくれていた常連さんは
ランパスの終了日など知らないため
そのまま戻ってこず、
ランパス期間以前よりも
ランチタイムが暇になりました。
ランパス利用者の
期間外の来店も期待しましたが
結局、ランパス期間中の安売りにしか
興味がない人たちは、
リピーターにはなることはなく
ほとんどと言っていいくらい
再来店に繋がらない。
結局、安売りを求めるお客様は
安く食べられる時だけ
安く食べられるものだけを狙って
来店するだけ。
お店のサービスや他の商品が目当てではなく
コスパのいいランパス商品だけが目当て。
惹きつけられるクオリティを
提供できていなかったと考えれば
もちろん反省点もあります。
それを抜きにしても
言葉は悪いですが
イナゴの大群のように押し寄せて
店を荒らし、去っていく。
常連さんが来づらいお店になり
期待したリピーターも増えず
結局残るのは
安売りによって疲弊したスタッフと
削り取られた利益だけ。
3回のランパスを掲載し
計9ヶ月間、気付かないうちに
利益を削り続け、本来、
大切にすべき常連さんも失った。
常連さんの減ったお店というのは
本当に悲惨です。
それは
お店を支持してくれるファンを
無くすということ。
目先の集客に捉われて
僕は、それを無くしました。
今回、記事に書くため、
今ランパスがどうなっているのか
久しぶりに調べてみましたが
どうやら、僕のお店と似たような感じで
再掲載拒否やクレームが増え
5年以上前に終了しているようです。
結局、一番得したのは出版社でした。
今はSNSも当たり前になり
個人でもWEB広告を使ったり
様々なサービルツールがありますが
どんなツールでも
扱い方を知らないまま使ってしまうと
大火傷をおってしまいます。
特に強力なツールほど。
そして、安売りの代償となるもの。
そんなことが、この時以降
僕の教訓となりました。
後日談、僕のお店は、
大幅に削ってしまった利益が
お店の経営を圧迫した
要因の一つとなり
その利益の穴埋めが最後までうまくいかず
立て直しが難しくなり、倒産しました。
個人起業家でも無形サービスの場合は
原価が発生しないことも多いので
飲食店ほどのダメージは少なく思えます。
しかし、安売りを重ねていけば
それは労働力の搾取と変わらず
時給200円や300円で働いているのと
何ら変わらないブラック企業状態です。
今回は長文の話になりましたが
安易な安売りが引き起こす大きな失敗について
経験談を基にお伝えしたかったので
記事を分けずに、一挙投稿させて頂きました。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
起業初期にありがちな安易な安売り。
命の時間を削りながら
自分の価値をも下げないよう
今回の話が何かしら役に立てば嬉しいです。
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