この本、6月に発売された当初から話題になっていて、書店のビジネス書コーナーでは常に平積みで推されていた。
売れるからにはそれなりの理由があるだろう。でも、僕の中での優先順位は低かった。あわてて買うこともないだろうと・・・
南場智子さんが、DeNAの創業者であることは知っていた。
そのDeNA自体は、ベンチャー企業で、横浜ベイスターズを買収してプロ野球界に参入したモバゲーの会社という認識。要は、大して知らんということ。
(ケータイゲームとか、ほとんどやらないので、この辺の知識、疎いのです・・・)
ベンチャーを創業して球団を持つまでの企業にした女性経営者の本かぁ。多分、「スーパーウーマン」なんだろうなぁ。厳しそうだなぁ。
そんな貧困なイメージで、取り合えずスルーしていたのだ。
ところが・・・先週あわてて買って読んだのです。
きっかけは、雑誌『東洋経済』の先週号に掲載された南場さんのコメント。
企業幹部への女性登用を義務づけるクオータ制が議論されていることに意見を求められ、
「反対です。人事を甘く見ないでくれと言いたい。」と。
以下の内容は詳述しないが、「そうだそうだ」と共感できる意見だったのだ。
クオータ制って、確かヨーロッパのどこかの国で、議会の議員の女性の割合を一定以上にすると決めて運用しているという話だと思う。それを企業経営にも取り入れて、女性活用を進めようということだろう。
これ、違うと思うんですよね。
議員は、民意の代表で、多様な意見を集約できるように、男女はもちろん様々な人が代表者として入るべきだろう。男性が多いのであれば、数値目標を決めて女性の割合を高めるのは筋が通っている。
でも、企業幹部は民意の代表ではない。幹部になるべき人材がなる、という話。適材適所の観点に、無理に枠を作ることは筋が通らない。
じゃあ、なんで最近、企業が「管理職に女性10%以上」とかって、数値目標を掲げているのか?
数値には強制力があるからだと思う。僕は社内向けのメッセージという要素が実は強いと感じている。
適材適所の原則にしたがって運用するよ。そうすれば当然、女性は登用されるよ。数値掲げて、バンバンやっていくよ、という。
まあ、僕はこういう数値目標は別に必要ないのでは、と思っていて。
僕の会社も女性の管理職(課長以上)はごくわずか。しかも近年なった人だけ。
理由は明白。管理職に適したキャリアを積んだ女性の絶対数が少ないから。
昔は、結婚や出産のタイミングで退職する人が多かった。退職しないことが普通になったのって、多分ここ15年ぐらいの話。
40代以上の総合職女性って、そもそもあまり残っていないから少ない。いずれ増える。
もちろん、そう筋通りに運ばないから課題なのは分かっているけど、「クオーター制は本質とは違う」ということだけは強く思っている。
長ーく語ってしまったが、要はそういうことをバッサリ語った南場さんという人に、興味を持ち本書を手に取った。
読んでみて・・・序盤は軽い文章が肌に合わない感もあったが、中盤以降はスピードがあって、そういう感覚を忘れることができた。
南場さんは、DeNAの創業から発展の歴史を、「失敗の連続」と表現した。「不格好な経営」であると。
確かに失敗を繰り返している。いろいろと苦労している。
でも、こういうのものかなぁとも思っている。
どこの経営も、言ってみれば仕事というもの自体が、不格好だ。格好良いものであるはずがない。
不格好である仕事を、経営をどうやってきたか。そんな物語だと思った。
参考になる考え方もたくさんあるけど、そういうのを学ぶ本というより、改めて自分たちの「不格好な仕事」を確認し、肯定できる本、という感じ。
南場さん、「スーパーウーマン」には違いないけど、コトの本質では重なる部分もある気がした。
仕事は不格好なもの。でもそれがカッコイイのかな・・・
- 不格好経営―チームDeNAの挑戦/南場 智子

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