小田中直樹 『歴史学ってなんだ?』 | 流れに任せて雑然と

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大学では、文学部史学科で日本史を専攻した。


自分の好きな分野を専門的に学ぶ・・・大学に行く意義ってそこにあると思う。でも、当時の就職活動では、「男で文学部」というだけで、選考の対象にすらならない企業もあった。


社会に出てから役に立たないでしょ、ということなんだろう。


確かに、高校までに勉強した歴史は、膨大な量の暗記を求められたイメージで、年号を知っていても仕事には生かせないだろう、という指摘は最もかもしれない。


共通する「歴史学」のイメージって、そういう知識というか、雑学の類いなのではないか。


それは違うんです。「歴史学」って、覚えれば答えられるようなものではなく、奥が深く、むしろ永遠に答えが出ないような学問なんですよ。。。


僕は、大学で学んだ「歴史学」という学問が、社会に出てからも大いに役立っていると思う。


「歴史学」のアプローチは、史料を調べ、書き手の立場を考え、先行研究を疑い、解釈を重ねていくものだ。


つまり、書いてあること(言っていること)の背景を深く考察し、問題意識を持って考え続ける学問なのだ。


僕にとって、分析や考察、そして一つの形に意見をまとめるというプロセスにおいて、この歴史学のアプローチが大いに生かされているのだ。


歴史学に限らず、社会科学系の学問なら、同じようなアプローチをするかもしれないけど、僕は先行研究や史料と格闘した経験は、より大きいと思う。



『歴史学ってなんだ?』は、筆者も意図する通り、良き入門書だ。


これから歴史学を学ぼうとする人は、本書でこの学問の基本を理解できるだろう。


「史実を明らかにできるか」「社会の役に立つか」というシンプルな問いを軸に、歴史学という学問のアプローチや可能性を、様々な研究の動きを抑えながら書いている。


歴史小説と学問の違いなんかも、素朴な疑問として気になるところで、そこを織り込んでいるのも良い。


大学時代に受けた、「史学概論」という授業を思い出す。


これ、まさに概論という話で、本書に書いてあるようなことを学んだが、まあ、難しかったのだ。


教科書は、E・H・カーの名著『歴史とは何か』(岩波新書)。この本自体は、新書ということもあってサラリと読めるのだが、授業自体はその内容を更に哲学的にしたというか、学術用語が連発され、はじめて学問に触れようとしていた僕には、とても難解だったのだ。


当時、本書があれば、もうちょっと理解しやすかっただろうなあ・・・。


というわけで、これから歴史学を専攻しようという人には、是非読んでいただきたい一冊。


僕はカーの名著を再読したくなった。


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