●設計費の考え方について
御客様に、まず知っておいてほしいのは、私たちの設計費は「案件ごとの難しさ」によって段階的に設定されているという点です。
設計という仕事は、すべての案件が同じ労力で進むわけではありません。それぞれに求められる表現力や発想力が違い、その度合いによって必要となる経験値や作業量が大きく変わってきます。ですから、私たちは難易度に応じて三つの区分を設け、お客様の期待に確実に応えられるようにしています。
●難易度の高い案件
最も高い難易度に位置づけられるのが、日本の街並みを店内に再現するような案件です。
こうした空間づくりでは、単に雰囲気を似せるだけではなく、「その場所に立った時に本当に街道にいるように感じられるかどうか」が重要です。細かな表情のつくり方や、景色全体のまとまりを考える力が必要で、デザイナーとしての経験と技術が大きく試されます。
加えて、既存の真似ではなく、その店舗ならではの物語を描く工夫も求められます。そのため、どうしても設計にかかる時間と労力が増え、費用も高く設定せざるを得ないのです。
●中程度の難易度にあたる案件
焼肉店や寿司店、会席料理の店など、特定のジャンルに合わせて空気感をまとめる案件も多くあります。
これらの場合は、街道風のような大規模な再現ではありませんが、それぞれの料理の「らしさ」をどのように空間に落とし込むかが大切になります。
たとえば、高級店なら落ち着きや品のある雰囲気、専門性の高さを感じられる構成が求められます。そのため、技術力だけでなく、感性や表現の幅が重要になります。
●難易度が比較的低い案件
居酒屋やバーなどの案件は、訪れた人が気軽にくつろげる雰囲気づくりが中心になります。
必要となる技術そのものは複雑ではないことが多く、全体の流れとしてもわかりやすいため、設計難易度はほかの二つより低いと判断しています。
そのぶん費用も抑えやすく、お客様にとっても取り組みやすい案件になります。ただし、設計が単純という意味ではありません。シンプルな空間ほど、ちょっとしたバランスの違いが印象に大きく影響しますから、丁寧な配慮は欠かせません。
●まとめ
以上のように、案件の難易度は「求められる表現の深さ」や「再現しなければならない世界観の大きさ」によって変わります。
私たちは、それぞれの案件に最も適した力を注ぎ、お客様に納得していただける空間を提供することを大切にしています。設計費の区分は、その品質を保つための仕組みだと考えていただければ十分でしょう。
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