『イワンのばか』は、ロシアの民話に登場する男性であり、
純朴愚直な農民が、最後には幸運を手にするという典型的な昔話の主人公であります。
畑を耕すことしか能がなく、正直者で運が良い長所を除けば、
イワンは無学で経済観念のない馬鹿であり、イワンが王様になってからも以前と変わらぬ肉体労働を続け、国民に対しても「掌に胼胝(※たこ)があるものだけが食べることが出来る」という御触れを出す始末。
結果として、悪魔が金貨で誘惑しても効果がなかったり、
悪魔が、頭を使って稼ぐ仕事があることを説いても誰も興味を示さず、
その馬鹿さが悪魔を苦しめる結果となって、最終的には「めでたしめでたし」といった話なのですが、
物語のなかで悪魔と呼ばれていた者は、イワン達に真っ当な経済活動を説いていただけなんです。
昔話というのは『寓話』としての要素もあるのですが、
イワンのばかは、無学さ故に肉体労働しか選択肢のない貧乏人の嫉妬心を慰める以上のものはありません。
ロシアが貧しい理由もそこにあり、
加えて、現実のイワン達は、物語のイワン・ザ・フールのような純朴さは欠片もなく、
怠惰で嘘つき、他国を侵略してそこの住民から家電から便器まで盗んでいくような さもしい連中なんですけどね?
教育レベルは高いのにもかかわらず…
軍部がメチャクチャなロシアですが教育レベルは悪くありません。経済開発協力機構(OECD)による二〇一九年の統計では、六三%が高等教育を受け世界の平均より二〇%も高いのです。
ところが高等教育を実施しているはずのロシアは、歴史家でプリンストン大学のスティーブン・コトキン教授によれば「高い教育レベルで低い人的資本というパラドックス」を生み出しているというのです。
通常、教育レベルの高い国は人材レベルも高いので経済活動や科学技術が活発になるのですが、ロシアの場合はそうではありません。ロシアの権威主義体制による政治的な自由の制限によって高い教育を受けた人々が海外に出てしまうのです。
ロシアというかソ連というのは、もともと中世のモスクワ大公国のころから民の多くが農奴だったところです。そこにツァーリという皇帝とか村長とか、ようするにオラオラ系権力者がいて農奴に「お前はこれをやれ」と指令し、農奴は延々とカブを抜いている、という感じなのです。
民はあまりにも長い間農奴をやっていたので、自分で工夫してカブの生産高をアップするとか、漬物をつくってプロモーションしメディアミックスして売りまくり、お金を儲けようという発想とか知恵がないのです。商売人感覚が根本的に欠如しているので、ロシア人とお話をすると、その金儲けのセンスの無さにドン引きです。
ちなみに自分の同級生のロシア人も、みなさんおそろしく金儲けのセンスがないどころか資本主義社会の基本をまったく理解していませんでした。
なんと真顔で「保険とは一体、何なのか?」ということを真剣にこちらに聞いてくる。またATMの使い方もわかりませんでした。株式投資の仕組みも全然わかっていない。そんな調子で商売をやるので、ロシア経済がまわるはずがありません。
驚くべきことに彼らは海外に留学ができるような、いわゆる知的エリートの階層で、英語やドイツ語も一応できています。でもその層がこのレベルです。イタリアとか中国みたいに長年商売をやってきた蓄積がないためにセンスがないのです。これは今の若いロシア人もそれほど変わりません。
ところが高等教育を実施しているはずのロシアは、歴史家でプリンストン大学のスティーブン・コトキン教授によれば「高い教育レベルで低い人的資本というパラドックス」を生み出しているというのです。
通常、教育レベルの高い国は人材レベルも高いので経済活動や科学技術が活発になるのですが、ロシアの場合はそうではありません。ロシアの権威主義体制による政治的な自由の制限によって高い教育を受けた人々が海外に出てしまうのです。
ロシアというかソ連というのは、もともと中世のモスクワ大公国のころから民の多くが農奴だったところです。そこにツァーリという皇帝とか村長とか、ようするにオラオラ系権力者がいて農奴に「お前はこれをやれ」と指令し、農奴は延々とカブを抜いている、という感じなのです。
民はあまりにも長い間農奴をやっていたので、自分で工夫してカブの生産高をアップするとか、漬物をつくってプロモーションしメディアミックスして売りまくり、お金を儲けようという発想とか知恵がないのです。商売人感覚が根本的に欠如しているので、ロシア人とお話をすると、その金儲けのセンスの無さにドン引きです。
ちなみに自分の同級生のロシア人も、みなさんおそろしく金儲けのセンスがないどころか資本主義社会の基本をまったく理解していませんでした。
なんと真顔で「保険とは一体、何なのか?」ということを真剣にこちらに聞いてくる。またATMの使い方もわかりませんでした。株式投資の仕組みも全然わかっていない。そんな調子で商売をやるので、ロシア経済がまわるはずがありません。
驚くべきことに彼らは海外に留学ができるような、いわゆる知的エリートの階層で、英語やドイツ語も一応できています。でもその層がこのレベルです。イタリアとか中国みたいに長年商売をやってきた蓄積がないためにセンスがないのです。これは今の若いロシア人もそれほど変わりません。
うちの家人はイギリスの大学で経営学を教えていますが、MBAや修士レベルの授業でさえも、留学してくるロシア人は資本主義の根本的な基礎が理解できていないようです。
具体的には、利益とは売上高から経費を引いたもの、また知的所有権を守りましょうといったことすらピンとこないレベル、さらには起業家精神が欠如しすぎて、経営学の授業で「新しいベンチャー企業のアイデアを考えて」と投げかけても何も出てこなかったりします。
中国やインド、イギリスの学生は最初から「お金を稼ぐにはどうするか」に熱心で、次々にアイデアを提案してくるのに、ロシア人は外れまくっているのです。
一方でエリートのロシア人は、日本で平安時代に書かれた「蜻蛉日記」について日本人に延々と質問をしてきたりします。ロシアはこんな古典を利益度外視で出版していたんですが、実務に役に立つような一般人の教育は実にヘタクソです。ロシアの産業がダメな理由はこういうところにあります。
ロシア兵もいまだに常識がメチャクチャで、地図が読めずウクライナの場所が理解できていないとか、戦車で交通事故を起こすのはこのような教育の問題が原因なのです。
知的エリートは専門とするニッチな分野には異様にくわしいけれど、商売のセンスは皆無です。また一般の人々は素直ですが単純なので、ちょっと頭のきれる人間は他人をガンガン騙しまくり資源利権をゲットして超金持ちになった、というのがここ三〇年のロシア経済の仕組みなのです。
選挙も不正やり放題でフェイクニュースも流し放題で騙しまくり、独裁も可能です。ロシアで陰謀論がガンガン流行りまくりなのもこのせいなのです。
なにせ田舎に足を運んでもまともな本屋はなく、その辺のタバコ屋みたいな掘っ立て小屋というか、そういうところで日本のわら半紙レベルのペーパーへ超適当に印刷された本をチョロッと売っている。ほぼそんな感じなので、テレビで繰り返しプロパガンダを流せば一気にみんな信じてしまうのです。
具体的には、利益とは売上高から経費を引いたもの、また知的所有権を守りましょうといったことすらピンとこないレベル、さらには起業家精神が欠如しすぎて、経営学の授業で「新しいベンチャー企業のアイデアを考えて」と投げかけても何も出てこなかったりします。
中国やインド、イギリスの学生は最初から「お金を稼ぐにはどうするか」に熱心で、次々にアイデアを提案してくるのに、ロシア人は外れまくっているのです。
一方でエリートのロシア人は、日本で平安時代に書かれた「蜻蛉日記」について日本人に延々と質問をしてきたりします。ロシアはこんな古典を利益度外視で出版していたんですが、実務に役に立つような一般人の教育は実にヘタクソです。ロシアの産業がダメな理由はこういうところにあります。
ロシア兵もいまだに常識がメチャクチャで、地図が読めずウクライナの場所が理解できていないとか、戦車で交通事故を起こすのはこのような教育の問題が原因なのです。
知的エリートは専門とするニッチな分野には異様にくわしいけれど、商売のセンスは皆無です。また一般の人々は素直ですが単純なので、ちょっと頭のきれる人間は他人をガンガン騙しまくり資源利権をゲットして超金持ちになった、というのがここ三〇年のロシア経済の仕組みなのです。
選挙も不正やり放題でフェイクニュースも流し放題で騙しまくり、独裁も可能です。ロシアで陰謀論がガンガン流行りまくりなのもこのせいなのです。
なにせ田舎に足を運んでもまともな本屋はなく、その辺のタバコ屋みたいな掘っ立て小屋というか、そういうところで日本のわら半紙レベルのペーパーへ超適当に印刷された本をチョロッと売っている。ほぼそんな感じなので、テレビで繰り返しプロパガンダを流せば一気にみんな信じてしまうのです。
将来は巨大な“灯油屋さん”?
谷本 真由美(著述家)