プーチン大統領になり代わって「ロシア脳」で考えてみると
ゼレンスキー氏は決して英雄ではない
むしろ彼こそが今回の紛争の種を蒔いた張本人だと言っていい
彼がウクライナの大統領でなければ
プーチン氏も国境を越えて自国の軍隊を送り込むなどという
暴挙に出ることはなかっただろう
よく知られているようにゼレンスキー氏の前職はコメディアンだ
彼は「国民の僕」という政治風刺ドラマで
後に大統領になってしまう歴史教師の役を演じた
これが大ヒットすると
勢いでドラマのタイトルと同じ「国民の僕」という政党をつくって党首となり
2019年の大統領選に出馬したところ70%を超える票を獲得して当選したのである
ところが実際に大統領に就任すると
政治家としては素人なので当たり前だが内政でも外交でも失策が続き
支持率はたちまち20%台にまで急落してしまった
そこでゼレンスキー氏は起死回生の策として
ウクライナをEUとNATOのメンバーに入れると言い出したのである
これは効果てきめんだった
なぜならNATOはともかくEU加盟はウクライナ人にとってメリットが大きいからだ
ロシアのプーチン大統領にとってみれば
このEUやNATO入り発言には絶対に見過ごすわけにはいかない理由がある
1991年12月のソ連崩壊前後
連邦を構成してきた14の国が次々に独立した
そして2000年代には厳しい条件をクリアして相次いでEUに加盟した
こうして旧ワルシャワ条約機構の国々は次々に自由主義陣営に取り込まれて
今やベラルーシとウクライナを残すだけになってしまった
ウクライナの歴史を紐解くとロシアとの関わりが深いことがわかる
現在のウクライナの首都キーウは
9世紀から13世紀にかけて存在したキエフ大公国の首都だった
そしてロシア人のほとんどが信仰しているロシア正教は
キエフ大公国の正教会から派生したと言われている
つまりロシアにとってウクライナは「親」のような存在なのだ
ウクライナはソ連からの独立後
ロシア寄りと欧米寄りの政権が交互に入れ替わりながら
ロシアを刺激しないように中立を保っていた
ところがゼレンスキー大統領は「自分たちはEUにもNATOにも入る」と宣言した
ロシアのプーチン大統領からすると「親子なのにどういうつもりだ」と
ゼレンスキー氏の態度に怒り心頭だったであろう
しかもウクライナがNATOに加盟した結果として
ロシア国境近くにミサイルが配備されるとモスクワまで約700㎞の距離しかない
だからロシアとしてはウクライナやベラルーシを緩衝地帯とするために
NATOへの加入を絶対に阻止したいのである
また国防においてゼレンスキー氏の発言を許すわけにはいかなかったのである
ゼレンスキー氏はもうひとつウクライナの大統領として致命的なミスを犯した
プーチン氏が絶対に触れてほしくない核問題に踏み込んでしまったのだ
ウクライナは旧ソ連の核開発基地だったためソ連解体後も大量の核が残されていた
しかし独立国家となったウクライナの核保有を国際社会は認めなかった
1994年12月「ウクライナがベラルーシ・カザフスタンとともにNPT(核拡散防止条約)に加盟すれば協定署名国がこの3国に安全保障を提供する」
という内容の覚書(ブダペスト覚書)にアメリカ・ロシア・イギリスが署名したのだ
このブダペスト覚書によってウクライナは非核兵器国となった
ところがゼレンスキー氏は自身の支持率回復を狙うために
「ロシアによるクリミア併合のようなことが起こるのは自分たちに核がないから」と
ブダペスト覚書に異議を唱えるような発言をし始めた
これはロシアにとって大問題だ
なにしろウクライナは核開発のノウハウがあり優秀な技術者も多数有しているので
その気になれば実際に核を保有できてしまうのである
以上のように「我々はEUとNATOに入る!核も持ちたい!!」と平然と口にする
ゼレンスキー大統領に対しロシアのプーチン大統領はかなり立腹していたに違いない
そしてゼレンスキー氏が次にとった態度でプーチン氏は完全に堪忍袋の緒が切れた
「ミンスク合意」の破棄だ
2014年3月
ロシアがウクライナ南部のクリミア半島を併合した後
親ロシア派武装勢力がウクライナ東部のドネツク・ルハンスク(ルガンスク)
2州の一部地域を占拠したことで紛争が勃発した
翌2015年2月
ロシア・ウクライナ・ドイツ・フランス4カ国の首脳がベラルーシの首都ミンスクで会談を行いなんとか停戦合意がまとまった
これが「ミンスク合意」である
この合意の中には「ウクライナ東部親ロシア地域に『特別な地位』を与える恒久法の採択」という項目がある
ロシア系の多い東側の地域(ロシア系が7割に達すると言われている)にウクライナは「自治権」という特別な地位を与えることになっていたのだ
国連安保理も2015年にミンスク合意の履行を求める決議を全会一致で承認していた
しかし2019年に大統領に就任したゼレンスキー氏はそんなことはおかまいなしに
国内世論を意識して「東部2州に『特別な地位』を与えるつもりはない」と堂々と口にし始めたのである
そこでプーチン氏は今回強硬手段に出た
非はあくまでミンスク合意を履行しないゼレンスキーにある!というのが
プーチン氏の主張なのである
分からないなら、教えてあげましょう(笑)。
> プーチンとはそれほどバカな男なのか?という疑問もありました
> エリツインがボロボロにした国を再建した能力の持ち主ですから。。。プーチンに随分と心酔しているようですが、
そのロシアの経済も、プーチンの起こした戦争によって再び滅茶苦茶になっていますが(笑)。
大前の言うところの『ロシア脳』とは、帝国主義者としての視点であります。
強者に阿り、弱者(※実際に弱者とは限らないが)を踏みにじるのは褒められたものではありませんし、
ましてや、反米主義思想に固執した視野狭窄の『いちびり』から、
ウクライナという国家の存立とその歴史を全否定するロシアに期待を寄せるのは処置なしの馬鹿がすることです。