ブラジルの日系人社会の中には、依然として日本の敗戦を認めようとしなかった『戦勝派』が戦後も長らく存在し続けた時期があり、
詐欺師は、そんな日系人の財産を騙し取るために、今で言うところの『フェイクニュース』で日本の大勝利を喧伝し、日本の敗戦を信じたくない一部日系人の中には、積極的に詐欺師の企てに乗っかろうとする者も少なくありませんでした。

ニセ皇族の『御巡幸』もまた、詐欺師による演出の1つであり、朝香宮鳩彦王を騙る詐欺事件がそれでありました。

鳩彦王は戦後臣籍に降下(※皇籍離脱)して既に皇族ではなく、朝香鳩彦氏自身も渡伯したことはありませんでしたが、日本から遠く離れたブラジルの日系人社会がそれを知る由もありませんでした。

しかし、ニセ朝香宮殿下が彼らの前に姿を現したことは一度もなく、
結局、支援者から巻き上げた金品でサンパウロのホテルで豪遊した挙げ句、最終的には現地の警察によって逮捕されています。

長らく不当な差別に苦しみ、祖国日本からも忘れ去られた日系人の境遇を思えば、同情させられる部分も多く、
彼らを愚か者と断じることはできませんが、それでも正しい情報や知識があれば避けられた事件でありました。


しかし、日本国内にいて、正しい情報に触れられるにも関わらず、
皇室詐欺に騙されるような輩は、全く同情できません。



【白仁王事件】
昭和天皇の御落胤を騙った詐欺事件。

昭和天皇が崩御され、元号が平成と変わった頃『白仁王殿下』とその秘書『渡辺殿下』が登場した。

白仁王は「昭和天皇の御落胤」・「天皇陛下の兄」・「日本国代表者」(このような名称の地位・職務はない)とされ、
渡辺殿下は「国連からナイトの爵位を授与されている」(このような制度はない)と騙り、北陸地方を中心に国内の中小企業経営者などに対し菊花紋入りの案内状を次々に送付。

「白仁王殿下が、中小企業に対し育成資金を賜る。その為に、まず保証金として数百万円の納入が必要とのことである」と持ちかけ、
被害者を信用させるために賞状や偽物の『勲章』『勲記』などを作成、京都市の都ホテルの広間を使い『勲章授与式』まで挙行。

ホテル側は『渡辺殿下』から「企業グループの表彰式」等と説明され、所定の利用料金を支払った客を疑うわけにもいかずそれを信じ、詐欺グループに場所を貸してしまう結果になったとのことであった。

こうしてすっかり信用するに至った被害者達は相次いで金を支払ったが、いくら待っても育成資金が振り込まれなかったため、被害者が警察に訴え出たことにより詐欺が発覚。


詐欺グループは日本全国に出没し、被害総額は15億円を越えたという。


この詐欺グループの首謀者は『渡辺殿下』であり、白仁王』は奈良県在住の一般人。
『白仁王』は『渡辺殿下』の誘いに乗り、詐欺グループに参加した。


長期間『白仁王』になりきり、逮捕時には自ら御落胤であると信じ込んでいるほどであった。

更に被害者の中にも、『白仁王』と『渡辺殿下』が逮捕・起訴されてもなお、「騙されたとは思っていない」・「あの御方は本物」・「宮内庁が真実を隠そうとしている」等と疑いを持たずに信じている者がいた。

この詐欺が、平成の代替わりに伴う諸々の宮中儀式・国家儀礼が行われていた当時の世相と重なり
加えてバブル景気で銀行の金利も高く、白仁王からの育英資金が得られれば、今まで支払った保証金の分なんか軽く取り戻せるくらい金融で儲けられるという、単純な『欲』につけ込んだものとも考えられる。



【有栖川宮詐欺事件】
「高松宮宣仁親王の御落胤で、有栖川宮家の祭祀を継承した有栖川識仁」と自称する男によって行われた詐欺事件。

平成15年4月に、東京青山にて偽の結婚披露宴を行い、参加者から祝儀を騙し取った事件。

『石田純一』や『ダイアモンド✡ユカイ』をはじめとする芸能人も騙され、石田純一に至っては、詐欺グループの一員と疑われ、警察から事情聴取を受けたと言われている。




そもそも、現行の皇室典範では非嫡出子には皇位継承権がありませんし、側室が制度的に公認されていた頃であっても『隠し子』を騙ること自体、不敬罪に問われる重罪であります。

それでも、騙されるのは情弱に加えて、詐欺師につけこまれる弱さがあったと言わざるを得ません。

結局、騙される輩は、金銭的な見返りや、皇室とコネをつくることによって得られる地位や名誉なんかを期待する、欲の皮の突っ張った俗物だから騙されるのです。



令和の御代替りで皇室に対する国民大衆の関心が高まっていたのにかこつけて、
元宮内庁職員を騙る小内誠一が、広告収入を得るために皇室のスキャンダルをでっち上げる構図にも良く似ていると言えるでしょう。

関係者以外知り得ない皇室やその周囲の内部事情、
たとえ、それが論理的に破綻していようが、雲上人の秘密を共有しているという優越感。

それって、俗物の快感原則にいちばん合うんですよね。

実際には、詐欺師の養分となるばかりか、頼まれもしないのにコメント欄に罵詈雑言を書きなぐっている小人に過ぎないのですが(笑)。