女性天皇と 女性皇族の配偶者に対する敬称は『殿下』とするのが適当だと思われます。

 天皇 [Emperor]の妻である皇后[Empress]であり、外国の国王の妻である王妃[Queen]と称し、それらの敬称は陛下 
[Your/His/Her (Imperial, Royal, etc.) Majesty]であります。

 ですが、女王陛下の夫に対して陛下 [Your Majesty]と呼び掛けることはありません。

 なぜなら、彼は国王ではないからです。


 外国の女王の夫に対しては、日本政府(※主に外務省、宮内庁)は『王配』と呼称しており、
その敬称は『殿下』であります。

 欧州では、他の王子男性王族と同様にプリンス [Prince]として扱われ、女王との共同統治者としての地位と権限が与えられていた場合でも、プリンス・コンソート [Prince Consort]と呼称されていましたが、その場合でも敬称は『殿下』でした。

 一体、誰が言い出したのか知りませんが、女王が即位したあとに王家の名前が夫の姓に変わるから、女性天皇は皇統断絶につながるという『妄想』が男系男子固執論者の中で共有されているようですが、非常にくだらない話であります。

 間違っても、外国で「我が国は一貫して男系による継承が続いてきたから、あんたらのように女系で王家の血統が頻繁に断絶してきたようなものではない」なんて言わないでほしいものであります。

 恥を晒すだけですから。

 女性天皇と 女性皇族の配偶者に関しても、上記の前例を踏襲して『皇配殿下』として、その皇子も皇位継承権を有するとして何ら問題ないと思いますが、
男尊女卑の考え方に脳髄を支配された男系固執論者にとっては、おそらく女性天皇と女性皇族の夫が皇族として扱われること以上に、
男性が女性よりも下位の扱いを受けること自体、感情的に許容できないのだろうと思われますが、そんなことを言っている場合ではありません。

 他には、広義の意味では皇室の一員であっても、呼称に関しては差異をつけるような形をとる方法もあります。

 例えば、野田内閣が検討した『A案』と『B案』の間をとるものならば、
対処療法的ではあるものの、とりあえず女性皇族の降下に伴う皇族減少を一時的に防ぐことは可能であります。

 事実、皇室典範が制定される明治22年までは、内親王殿下に限っては、皇族以外の男子と結婚した場合に於いても皇族としての身位を失うことはありませんでした。

 しかし、女性皇族の子供に皇族としての身分が与えられない『B案』も、婚姻した時点で男女とも皇族としての身分を失う『A案』も、所詮は対処療法でしかありません。

 結局、長期的な視野に立てば旧宮家から男系男子を連れてくるやり方も、この先そう何度も使えるようなものではありませんし、
私は『A案』と『B案』との間をとる手段で皇族を確保する以外に妥協点を見出だすことは出来ないと考えています。

 その上で、女性皇族および女性皇族の子供が皇位継承権を有する『永世皇族』としなければ、意味がありません。

 それで、女性天皇と女性皇族の配偶者の呼称に関してでありますが、

関白殿下

……と、いうのはどうでしょうか?

 歴史上存在した官職の名称であり、摂政が天皇が未成年であったり心身の故障によって政務に関われない時の一時的な代行であったのに対し、
関白の場合、成人となった天皇を支える令外官でありました。
 その役割を弾力的に解釈すれば、この先、女性天皇や女性皇族の公務をお助けする立場に相応しい呼称であると思うわけです。

 そして、敬称に関しても摂政と同様に『殿下』であります。

これより他に、男系主義との妥協点を見出だすことは出来ないと考えます。

 実際、男系固執論者も、天皇制廃止を主張する左翼も、女性宮家反対で一致しているわけであります。

 男系固執論者の中に、左翼の工作員がいたとしても何ら不思議ではありません。