お決まりの独身中年男性を見下す記事を見かけたので、今日は個人的な感想を述べてみます。
結局「チー牛」とは誰なのか？…ネット論客「チー牛がアラフォーだと『危険分子扱い』され、厳しい老後を迎える」独身中年男性に厳しい社会（みんかぶマガジン） - Yahoo!ニュース
記事の内容はおおむね的を得ているとは思いますが、独身中年男性を一方的に侮辱するだけで何のフォローもない内容には呆れるばかりです。
そもそも筆者の言う『チー牛』から脱却した充実した人生とはどのようなものでしょうかうか？
結婚～死亡までの人生イベントとそのリスクについて書いてみました。
１，20代～30代前半で伴侶を探し結婚
２，子どもが生まれる
３，子供が非行に走らず、高学歴へ
４，子どもが無事に就職
５，子どもが結婚、孫が誕生
６，無事に定年退職
７，退職金を元に配偶者と悠々自適の生活
８、配偶者や子供に惜しまれるように看取られ天国へ
令和の厳しい世の中で1～8のステップをすべてクリアーし、心置きなく天寿を全うできる人がどれだけいるでしょうか？
結婚をするという事は否応なく他人との共同生活が始まります。様々なストレスを重ねながら、お互いに我慢を重ねていく忍耐が必要です。特に夫婦同士の金銭感覚が合わない、または突然の失業や事業の失敗、病気等により家庭運営に支障をきたし、崩壊する可能性もあります。
次に子供が無事生まれるかどうかも疑問です。金銭的に豊かであっても少なくともどちらか一方が子供ができにくい体質であればここで双方の遺伝子を持つ子供を持つという選択ができなくなります。
子供が生まれ、順調に成長していけば次は受験戦争が待っています。
少子化にもかかわらず、小学～大学の受験予備校の業績や株価もおおむね好調です。という事は子供一人当たりの教育に関する費用が昭和や平成の頃よりも高額であり、子どもの教育が家庭の経済を圧迫する事になります。
加えて『子供自身のメンタル』が受験に耐えられるかという問題もあります。有名校になればなるほど競争倍率は高く、希望者すべてが合格するような事はありません。
自身が受験戦争に勝ち抜き、高学歴を得る事ができた家庭でも子供が同じ結果を得られるとは限りません。メンタルが弱い子供はここで不登校になったりする可能性もあります。
無事受験に成功しても入学後での学校での人間関係や学力不足により勉強に付いていけず、同じくドロップアウトしてしまう可能性もあります。
子供が順調に学生時代をクリアしても就職で失敗し、「チー牛」となってしまう可能性もあります。
例えば会社の社風や人間関係に恵まれず、引きこもってしまい、社会のレールに戻れなくなってしまう事もあるでしょう。引きこもりの息子や娘を抱える親といなれば、一生子供の面倒から逃れなくなってしまいます。
子供自身の努力により上手く就職、結婚できた場合であっても自身が無事に定年退職できるとは限りません。大企業であれば５０代で役職定年制により役職の降格および給与の低下により仕事に対するモチベーションが維持できなるだけでなく、早期退職やリストラにより高額の給与を得られなくなることで家庭での立場も低下してしまう可能性もあります。
リストラ等に巻き込まれず無事に定年退職して、まとまった退職金を得られたとしても家庭内の夫婦関係が結婚当時のままでいられるかも疑問です。2000年以降では離婚率は30％台と安定した数字として推移しており、子どもが無事巣立ったとしても、夫婦の心のすれ違いから熟年離婚となる可能性もあります。
夫婦それぞれの思惑から熟年離婚が避けられたとして家庭内別居のような状況がどちらかが亡くなるまで続きます。
最後の『配偶者や子供に惜しまれながら人生の最後を迎える』という事は最もハードルが高いでしょう。
子供から経済的に援助を求められる事はあっても子供の方から親に積極的に援助するというケースはあまり期待できません。
家族という共同体が助け合いの精神で完全に機能していれば『介護問題』『遺産相続トラブル』など起こるはずはありません。お金が多ければ遺産がらみの争い、お金がなければ介護負担に関するトラブルがあるのが現状です。
家族や孫に囲まれている裕福な家庭の老人が認知症等により老人ホームや介護施設へ追いやられ、孤独な老後を迎えているという話も聞きます。
記事の最後では『統計データ』や『他社からの評価』という視点から中年独身男性に対してダメ出しをしていますが、これを肯定的に捕らえるか否定的に捕らえるかは各個人が判断すればよい話で一方的に結論付けるのは好ましくありません。
結婚をすれば人生のイベント事も増え、バラエティーに富んだ人生を歩むことができますし、独身であればこのようなリスクに基本的には巻き込まれる事はありません。
しかし自分の願望をすべて叶えることができるような恵まれた人生を過ごせる人はごく少数です。
個人的には『結婚＝幸福、独身＝不幸』というくくりではなく、仮に『結婚できない・できなかった』としても他者の評価など気にせず『自分軸での人生』を謳歌できる事が大事だと思っています。
ライターさんには誰かを傷つけてしまうような悪意のある記事ではなく読者全員が前向きになれるような記事を書いてもらいたいと思いますね。