国民年金保険料の滞納についての記事が書かれていました。記事に記載されていない部分の補足をしてみました。

 

隣人のポストに「赤い封筒」が届いていました。年金事務所からの最終催告状だとしたら、じきに取り立てが来るのでしょうか?(ファイナンシャルフィールド) - Yahoo!ニュース

 

督促状の対象となる対象者は令和5年度については控除後所得300万円以上(※給与収入のみであれば約417万円)かつ未納月数7月以上と記載されており、全くお金がない人を対象にしている訳ではありません。

下記資料では『控除後所得300万円以上』の部分が本人のみを指しているのか連帯納付義務者である配偶者および世帯主のいずれかが該当していれば強制徴収対象者に含まれるのかは不明確です。

もし本人に所得がない場合であっても連帯納付義務者(配偶者、世帯主)に300万円以上の所得があれば最終催告状の対象となってしまう可能性も否定できません。

 

 

参考:日本年金機構令和5年度計画

R5.pdf (nenkin.go.jp)

 

<差押までの流れ>

『最終催告状』⇒『督促状』⇒『差押予告通知書』⇒『差押調書』⇒『配当計算書』⇒『充当通知書』

 

最終催告状=赤い封筒で送付されてくるとは限らず、ブルーやイエロー、ホワイトなど封筒の色は様々で年金事務所の判断によります。

最終催告状の指定期限までに納付(未納期間一括納付)がなければ、2週間程度で本人および連帯納付義務者に督促状が送付されます。連帯納付義務者については配偶者および世帯主となりますが、本人の滞納している期間において配偶者または世帯主に該当していない場合は連帯納付義務者とはなりません。

 

督促状(白いハガキ)が本人、配偶者、世帯主に発送されその指定期限までに滞納期間の保険料が完納されない場合は、差押えに向けて一段進むことになります。

 

年金機構は保険料の納付意思がないものとみなし、年金事務所は保険料に充当できるような財産調査を開始し、差押予告通知書を送付します。

 

そして本人、配偶者、世帯主のいずれかに預金等の金銭に換価が可能な財産が見つかれば対象者に差押調書を送付し、差押を行います。

差押が行われると、預金等の引き出しは不可能となり、車等の動産であれば年金事務所の徴収職員が出向いて差押を行います。

 

差押した預貯金または動産を金銭に換価して保険料、延滞金に充てた事はを配当計算書、充当通知書により滞納者へ通知し、完了します。

 

もし差押をした財産で保険料や延滞金が完納されなければ、再度の財産調査を行い、他の換価可能な財産が発見された時は再度の差押えが行われます。

 

この連帯納付義務制度というのが国民年金独自の制度であり、厄介です。例えば自分は厚生年金であって会社から保険料を天引きされている場合であっても、住民票上の世帯主である場合は20歳を超えた息子や娘などが免除申請も行わず、保険料を滞納し続けていると場合、自分の給与口座が差し押さえれてしまう可能性があるという事です。配偶者が自営業で保険料を滞納している場合も同様です。

 

控除後所得が300万円以上の方は扶養家族が多い場合を除いては免除申請は通りません。それでも離職や災害等による特例免除に該当すれば申請は可能ですので、少なくとも最終催告状の届いた段階で全額支払うか、年金事務所へ相談に行く事が得策であると思います。