オフを入れたことで ジヒョクのスケジュールは
さらに タイトなものになった
本当に 分刻みだった
時折 疲れた様子で目を閉じている
大丈夫かと 不安になり覗き込むが
数分で目を覚まし変わらぬ表情をつくり
カメラのまえにたった
芸能人って 大変な仕事なんだと 初めて 知った
いつも どこか頼りなげで 少年っぽいと思っていたが
プロとして 仕事に向き合う姿に 大人の男を感じた
次々と 来日スケジュールをこなし
最後の仕事が終わった
結局 あれから プライベートな話をする機会は 一度も
訪れなかった
みごとに ビジイネスライクな関係だった
それを 望んでいたのに
少し 寂しかった
今日は 最後にスタッフ全員での食事会が 予定されているが
涼子は行くのは やめようと思った
マネージャーに そのことを伝えに行くと
その場は 食事会の話で盛り上がっていた
マネージャー) ヒロスエさん
場所分かってるよね
ジヒョクは 少し休んでくるみたいだから 頼むね
涼子) エッ はい
マネージャー) 今回 ホント 助かったよ
ジヒョクは 割と人見知りなんだけど
ちゃんと 眠れてたようだし 仕事以外では リラックス
できたらしい
次回も お願いします
あいまいな返事をして その場から 立ち去った
少し時間をあけてから ジヒョクの部屋を訪れる
すでに身支度を整え 涼子を待っていたようだ
ゆったりとしたラインのシンプルなシャツと綿パンそれに薄いニット
いかにも着心地がよさそうないでたち
普段の彼のイメージどおりだと思った
二人でタクシーに乗り 目的の店に向かう
会場はすでに 盛り上がっていて ジヒョクと涼子は
それぞれ 乾杯の嵐の中へ巻き込まれることになった
やっとの思いで 抜け出し
パテイオの椅子に腰掛けていると
同じく喧騒から逃れたジヒョクが 近づいてきた
ジヒョク) ここ 座っても いい?
涼子) どうぞ 体調はどう?
ジヒョク) だいぶいいよ ありがとう
明日 帰るよ
リョコさん 過ぎてしまった時間を
なんて 言うか知ってる?
忘れたくても忘れられない事を 過去
忘れたくなくて心の奥に大事にしまっておきたい事を 想い出
って 言うんだ
ボクにとって リョコさんとの事は 過去でも想い出でもない
3年前から今まで ずっと続いている現在進行形なんだよ
指輪・・・ 気づいてた
でも 確認するのが 怖くて聞けなかった
リョコさんが ビジネスライクに接すれば 接する程
3年前 ホテルのラウンジで ボクにお金を差し出した貴女と
同じだと感じた
ひょとしたら 指輪に 意味はないのかもしれない
リョコさんも 現在進行形かもしれないと 思ったりして
笑えるよね
ゴメン 突然現れて 困らせて
あの日 何があったかなんて もういいよ
今はまだ無理だけど いい想い出に出来そうな気がする
会えてよかった
涼子) ・・・
ジヒョク) リョコさん・・・・・?
ジヒョクに寄りかかり 軽く寝息をたてている
ジヒョク) 変わらないな・・・
どうして そんなに無防備なの
ダメだよ こんなの
でも もう少し このままで居ようか・・・・
つづく