くるくるコンパス 著者:越谷オサム 出版社:ポプラ社 出版年:評価:☆☆☆ 完了日:2015年5月27日 ラベル:青春

 

 

 

 

 

 

 

冴えない男子's 大阪を行く

 

 

 

似たような感じの本に、山本幸久『幸福トラベラー』があるけれど、自分は本書の方が好きだな。

まだこっちの方がすんなりと読める。

 

 

 

修学旅行でのお話。

 

都内の中学校に通う佐藤カズト、中村シンヤ、小野寺ユーイチは、揃って将棋部に所属している。

残念ながら彼らは、ネクラで顔もイケてない部類に入る冴えない男子たちだ。

 

 

 

修学旅行で京都・奈良に行くことになった。

彼ら3人は、京都での班別行動の際、抜け出して大阪に行こうと計画している。

 

なぜなら、カズトの幼なじみで3人の将棋の先輩でもあった水谷香織に会うためだ。

彼女はいま大阪に住んでいる。

 

はてさて、冴えない男子3人組の計画は上手くいくのやら・・・・?

 

 

 

修学旅行といういつもとは違う状況。普段の学校生活では見られない相手の一部分が垣間見えたり、湯上り女子の艶っぽさにどぎまぎしちゃったりする訳ですよ、これが!

 

ふぅーう!!

ドキドキですねぇ~。ワクワクですねぇ~(笑)

 

 

 

でも、そこは思春期の男子と女子。そんな仲良い訳ないじゃん。

会話がリアルすぎて胃が痛い。

 

この頃における男子と女子との距離感というのは非常に微妙だ。

 

男子の目から見た女子は、おしゃまだし、成長早いし、口達者で口げんかでは勝てないし、何を考えているのかよく分からないし・・・・。

一方、女子の目から見た男子は、臭いし、汚いし、卑猥なことばっかり言って幼稚だし・・・・といったところか。

 

そんなお互い、相手に対してどう接すればいいのかよく分からんところが非常にリアルだ。

カズトがことごとく玉砕している場面を見ていると、ほんと、胃がきゅうっとなる。女子って怖い。

 

 

 

大阪の地下街は入り組んでいるから、うかうかと歩いていたら確実に迷うぞ。

冴えない男子'sは、案の定迷って地下鉄を見つけられないでいる。

 

そんなときは地元の人に聞くのだ。おせっかいな大阪人は親切にしてくれるぜ。

 

 

 

 

そんな彼らに最大のピンチが訪れる。

このピンチをどう切り抜けるのか。

将棋の手のように、考えろ!考えるんだカズト!!

 

その考えた挙句の手があれだとは・・・(苦笑)

 

 

 

見知らぬ土地、見知らぬ街並みを行くのは不安もあるだろうが、ワクワクが勝る。

 

人生、何によって決定づけられるか、分からないもんだね。

計画の成否の行方と、その後の3人の人生について語られる。

 

思春期だったあの頃の思いと、あの頃では分からなかった思いと、大人になって分かるようになってきた思いがない交ぜになる。

忘れたくはないもんだ。