あなたが住んでいるように見えるこの世界は、あなたの家ではない。心のどこかで、あなたはこのことが真実だと知っている。
あなたは、この世界では自分は異邦人で、どこかまったく知らない所からきているように感じている。
それは、自分がここでは流浪の身であると確信を持って言えるほど明確なものではない。
ただずっと続いている感覚である。
しかしあなたの中には父の家を探す幼子がいて、その子は自分がここでは異邦人だと知っている。その幼少期は、永久に持続する無垢性を持った永遠なるものである。
あなたの父がわか子として知っているのは、この幼子である。自分の父を知っているのもこの幼子である。
この幼子はあなたによる保護を必要としている。
彼は家から遠く離れている。彼はあまりに小さく容易に締め出されそうに思われる。その小さな声はすぐにかき消され、助けを呼ぶ彼の声は、世界のやかましく耳障りな物音や不快な雑音の中ではほとんど聞こえない。しかし、それでも彼はあなたの中に彼を確実に保護するものがあるも知っている。あなたは彼を裏切らない。彼は家に帰り、あなたも彼とともに帰るだろう。
この幼子とは、防衛しないことによる強さそのものである。彼はあなたを信頼している。彼はあなたが裏切らないと知っていたからやってきた。彼はわが家のことを絶え間なくあなたにささやき続ける。あなたを一緒に連れ帰りたいからである。そうすれば、彼自身がそこにとどまれる。そして自分が属さない場所、つまり異質の想念の世界でのけ者にされて生きる場所へと戻らずにすむようになる。
彼の忍耐に限界はない。
彼は、自分もあなたもともにくつろげる場所へあなたを伴い、平安に帰らせてほしいと内側から訴える。そして、その優しい声があなたに聞こえるまで待ち続ける。
あなたが一瞬の間静かになり、この世界があなたから遠のき、あなたの落ち着かない心の中で、無価値な概念が価値を持たなくなるとき、あなたは彼の声を聞くだろう。
彼は切実にあなたに呼びかけるので、あなたはもはや彼に対抗しなくなるだろう。その瞬間に彼はあなたをわが家へと連れ帰る。恐れや疑いとは無縁の言葉に尽くせない完璧な静寂と沈黙と平安の中で、あなたは家に帰ったという素晴らしい確信を持て、彼とともにとどまるだろう。
今日は、彼と一緒に何度も休息する。
防衛せずにやってきて、自分を敵視する者たちにただ愛のメッセージだこをもたらす者の強さを、あなたは彼から学ぶことができるように、彼は喜んで幼子となったからである。
彼は天国の力をその手に持ち、自分を敵視する者たちを友と呼び、自分が友であることが彼らにわかるように、自分の強さを彼らに与える。彼は家から遠く離れていてひとりでは家に戻れないので、彼らに自分を保護してくれるよう求める。
ひとりの放浪者が我が家を後にしようとするたびに、キリストは小さな幼子として再生する。
放浪者となった者は、自分が保護したいのは、防衛しないままやってきて防衛しないことにより守られるこの幼子だということを学ばなければならない。
今日は、何の役にも立たないあなたの盾を脇に置き、存在しない敵に向かって振り上げた槍と剣を下ろすための時間を使おう。
キリストは、あなたを友と呼び、兄弟と呼んだ。
彼は今日、自分を完全なる者として、完全に絵家に帰らせてくれるようにと、あなたに助けまで求めている。キリストは、愛と保護を求めて父親を探さなければならない小さな子供のごとくやってきた。
彼は宇宙を支配しているが、それでもあなたが彼と一緒に家に帰るように、そして幻想をあなたの神としないようにと、絶え間なく訴え続けている。
あなたは無垢性を失っていない。
あなたが渇望しているのはこれである。
これがあなたの聞く声であり、否むことのできない呼びかけである。聖なる幼子はあなたと共にあり続ける。彼の家はあなたの家である。今日、彼は自らの防衛しない強さをあなたに与え、あなたは自分で作り出したすべての戦闘用の玩具のかわりにそれを受け入れる。
そして今、道は開かれ、ついに私たちの旅もその終わりが見えてきた。一瞬の間静かにして、彼とともに家に帰りなさい。そしてしばし心安らかでいなさい。
