Me and The Night and The Music ――私と夜と音楽と その26―― | Everyday People Dance To The Music

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日々人は音と共に踊る

この企画をずっと読み続けてきた、それなりに勘のよろしい方なら、この次に僕が何と言い出すのか何となく想像できるのではないかと思う。
……つまりそんな人はほぼ居ないという体で話を進めるのだが(笑)、よってここは声を大にして言わせていただこう。



誰が何と言おうと、
ZZEPZである!
と。




No.026:
Led Zeppelin
『Led Zeppelin』



Led Zeppelin - Good Times Bad Times

「一番好きなバンドはレッドツェッペリンです」

例えば好きな曲や好きなギターリフ、或いは好きなバンドメンバー等といった問いを設けられたとして、その時々の気分や何かで答えは様々に出てくるものと思う。
ただ、そこでレッドツェッペリンの名前は恐らく挙がらないだろう。

「一番好きなバンドはレッドツェッペリンです」
と、僕は多分迷うことなく、息を吐くように言う。


Led Zeppelin - Babe I'm Gonna Leave You

だが、いやだからこそと言うか、それを人に薦めるのに少し躊躇いを感じるのもまた事実である。具体的にレッドツェッペリンのどの部分がどう良いのか、を、僕自身上手く説明できないからだ。
バンドのサウンドやグルーヴなんてのは、それが体に合わないとなればもうどうやったって合わないわけだが、結局それが殆どすべてであったりもするし。

それでも確実に言えること、主張しておきたいことはある。
僕が思う「ロック」というもの、その中心に存在しているのが、レッドツェッペリンというバンドなのだということである。
勿論生み出している音と言う点でもそうだ(故に、例えば僕にとってのロック・ギターはまず第一にレスポール・スタンダード、次いでテレキャスターである)。しかし何よりロック・バンドのあり方として、レッドツェッペリンを超える存在を挙げるのは難しい筈だ。少なくとも、僕には出来ない。


Led Zeppelin - Dazed and Confused

僕にとっての「ロック」、それは何かに「NO!」を突き付けるのではなく、全てに「YES!」と言ってのける強さのことだ。そして全てを受け入れて取り込もうとする貪欲さ・節操の無さのことでもある、と言えば、それがそのままレッドツェッペリンであると理解してもらえるのではないかと思うのだがどうか。
キャリアを通じて様々な音楽的要素を時流に乗る形で取り入れて、自らのサウンドへと化してしまうという労作を、毀誉褒貶相半ばさせながら行ってきたレッドツェッペリンだが、恐らくそれが最もドラスティックに行われたのは、デビューアルバムにおいてだろう。


Led Zeppelin - "Black Mountain Side" (W/Tabla Drums)

「基本的にはブルース・ベースのロックを大音量でやろう。でも今トラッド・フォークも結構来てるしなぁ。サイケやアートロックなんかもまだ廃れてはないし……うん、面倒だから全部やろう」
とでも言うようなごった煮の中身には、実際の所当時において目新しい要素など殆ど何一つありはしない(つまりブルースのカバー、トラッドのパクり、ロックンロールの引用、サイケの残滓、等々)にもかかわらず、実際に鳴らされた音は当時の何よりも新しい、新しさを感じざるを得ないものであった、筈だ。
そしてそれは恐らく、レッドツェッペリンのキャリアにおいても最も端整でテクニカルな演奏による所が大きい。以後音楽性を拡張させるのと比例(反比例)するように、彼らの演奏は(主にギターとヴォーカルが)弛緩し、「独特の味わい」のようなものが占める割合が大きくなっていくのだが。


Led Zeppelin - Communication Breakdown

レッドツェッペリンで1枚を挙げるのは難しい。もうどうせ聴くんだったら最初から全部聴けよと言いたくなる。
が、まあそれは裏を返せば「まず1枚目のアルバムを最初に必ず聴け」ということと同義である。

このアルバムにロックの全てがある、とまでは思わない。何せ、他ならぬレッドツェッペリン自身がそれをその後のキャリアで拡大して行ったのだから。
しかし、このアルバムで鳴らされている音は間違いなく「ロック」というものの根幹に近い音だ。無駄な贅肉を、削ぎ落としたと言うよりも元々付いてすらいないという風情の、しなやかで無駄の無い美しさを、例えば『コミュニケイション・ブレイクダウン』を聴くたびに感じてやまないのだ。



それはすなわち、僕自身が鳴らしたい音とイコールでもある。
憧れてやまない、故に恐らく辿り着くことは無いであろう、故に尚憧れてやまない。そんな音である。