Me and The Night and The Music ――私と夜と音楽と その6―― | Everyday People Dance To The Music

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日々人は音と共に踊る

No.006:
Frank Zappa & The Mothers Of Invention
Freak Out!』



The Mothers Of Invention - Freak Out!

初めて聴いたのはラジオでだった。
たまたま掛かっていた、確かNHK-FMの番組だったと思う。ムーンライダーズの鈴木慶一がゲストだかホストだかで出ていて、自らに影響を与えた音楽を紹介していた。
そこで流れたのが、『マザリー・ラヴ』だった。


Frank Zappa - Motherly Love

当時フランク・ザッパはその名前と、なんだかわけのわからん音楽をわけのわからん枚数出しているということくらいしか知らなかった。
初めて聴いたその音楽は思っていたよりもポップで取っ付き易かった。これなら聴けるし聴いてみたいと思って、程なくその曲が収められたアルバムをCD屋で買った。

しかし果たして……一聴ポップな曲はその実明らかに毒々しく彩られ、その合間にポップからは程遠い奇怪な曲が顔を出し、アルバム終盤からは一気に混沌混迷の度合いを深めて殆ど地獄の様相を呈してゆく。
当時然程の音楽遍歴も経ていなかった僕には、何となくとんでもないものを聴いているな、というくらいの感想しか持ち得なかった。

何だかわからないが凄い。凄いのかもしれないが何だかよくわからない。
それが僕の、フランク・ザッパに対するファーストインプレッションであり、実の所それは大筋では変わっていなかったりする。


Frank Zappa - Trouble Every Day

フランク・ザッパの膨大な数の作品の中から入門盤を選ぶに当たって、デビュー盤である『フリーク・アウト!』を選ぶという人は、恐らく殆どいないと思う。
僕も選ばない。最初の一枚にわざわざ聴き辛い作品を選ぶことは、そのアーティストへのトラウマを残すリスクが大きいからだ。
その後で聴いた『ホット・ラッツ』や『ワン・サイズ・フィッツ・オール』や『オーヴァーナイト・センセーション』の方が、変態的ではありつつも音楽的に洗練されていて、聴きやすい。薦めるとすればこちらからだろう。

僕の入り口がそちらからだったなら、と考えることもなくはない。
しかし現実に僕は奇怪な音に打ちのめされつつもザッパから決定的に離れることは無かったし、今でもそこまで熱心に集めてはいないにせよ、そこそこ熱心に聴いてはいるつもりだ。
それが教科書通りの入り方ではなかったが故、とまでは言わないけれど。



それはそれとして『トラブル・エヴリデイ』の異次元的なまでの格好良さよ。トーキングブルース辺りがルーツになってるのか知らないけど、これは半世紀の時を経て現代にも通じる音だと思う。