高校、いや大学に通っている頃まで、僕は「ロックを聴く耳」を持っていなかった。
音楽体験の根幹を生していたのがJ-POPであり(原体験はチャゲアス、と、歌声への初恋としての遊佐未森)、そのバリエーションとしての80年代洋楽ポップスがあったぐらいなのだからそれも当然で、ミスチルやスピッツやグレイやラルクやドラゴンアッシュを「ポップス」として聴いていた(聴き流していた)一方で、ミッシェルのチバの歌声はどうにも受け入れられなかったのを覚えている。
耳障りの良い声・音・メロディが全てだった(まあドラゴンアッシュで崩れてはいるけど例外だとして)僕に、いきなりSuiseiNoboAzの『Ask For Tiger』を聴かせたら、どんな拒否反応を示しただろうか。まあ案外普通に聴けたという可能性も否定しないけど。
速射砲のように(これもクリシェだけど(苦笑))繰り出される言葉の勢いが、過ぎ行く一節一節を瞬時に過去へと追いやり、振り返らせずに進んでゆく。ゆっくり歌詞だけを取り上げれば奇妙で異常な世界が広がっているのだが、それをそうと見せない。ただただ風景を吐き出すように語ることで、その奇妙さ、歪み捩れささくれ苛立ち怒り憤りが浮き彫りになる。
SuiseiNoboAzの代表曲かどうかはわからないが、フェイバリットを挙げるなら迷うことなく『Ask For Tiger』を選ぶ。
いきなりとりとめもないところから入ったが、本題の方は至って簡単で、予約していたSuiseiNoboAzのライヴDVD『The End Of The World V.S. Vynyl Bukuro』を買ったのである。
……レジ前で多少もたついたのは、この際大目に見よう。実際知名度を考えれば、店員がバンド名知らないのも仕方ないし、予約してなきゃ店頭に並んでないなんて自体も容易に想像はつくというものだ。
ビニール袋に入ってるのを楽しみにしてたら、どうも新宿・渋谷限定らしいということで、これは致し方なし。……しかし尖がったパッケージだなこれ、そりゃ値段も安くなるわ(笑)。
中身に関しては、まあ日付が変わるか変わらないかと言う時間に酒でも飲んでチルアウトしながら見ようと思っているので、今のところ感想を書く気はない。いずれ書くかもだが。
……それよりも、モノ・ステレオの2枚組で700円という変な値段で売っていたコルトレーンの『ブルートレイン』が非常に良かった。ずっと前に何度か聴いてたはずだけど、こんなに良かったっけ、という。それこそ、「聴く耳」を持ってなかったんだろうな。
