コジが亡くなった日は朝から晩まで冷えた一日で昼間は小雨が降っていた。亡骸を翌日の出棺までうまく冷やしてあげられたのも天候のおかげ。真夏にひとりで逝かせてたらきっと私はその亡骸を見て後悔の涙に溺れていたと思います。出棺の日は夏日、火葬の日はまた朝から小雨が舞うといった喜怒哀楽の激しかったコジがまるで泣いたり笑ったりしているような週でした。
去年、弟は車を買い換えたんですね。昔から車馬鹿だったけど新車になったらさらに磨きがかかりいつもピカピカに黒光りした高級車。昔乗ってた車の音をコジは離れて暮らしてからもずっと覚えてて。当時はマンションの駐車場に弟が着くとソワソワして、部屋に上がってくるのを玄関でひたすら待ってるなんてしょっちゅうあったり。本当に相棒だったふたりでした。
コジが亡くなった晩も、明日仕事なんだからわざわざ来なくていいと言ったにもかかわらず、どうしてもこの手で褒めてやりたいんだと弟にしては珍しく私に反発して家に来てくれた。私とヤマが汚すとすごくピリピリするくせに、コジの亡骸を撫でながら《俺の新しい車で一度はどこかに連れてってやりたかったな。お姉、辛いのに昨日は知らせてくれて本当にありがとう。俺後悔しないで済んだよ》と泣きました。昔3人で一緒に住んでた頃はよくコジを乗せて出かけてたから..
驚いた私は、コジをボクの車に乗せたら弁償金で大変な事になるわって泣き笑いしたっけな。
私の下調べが不十分で、というか詳しくパンフレットを見る気にもなれなかったし見ても頭に入ってこなかった。出棺したらその日に火葬してすぐお骨が戻ってくると思い込んでた私が悪いんだけど.. なんと11日土曜日以降じゃないと返せませんって。おじさんと二人でガーンだよね..だってその日はおじさん実家だもの。
亡くなる前日にまた土曜日来るからねとコジを励ました弟。車に乗せてやりたかったと言って泣いた弟。
旅立ちの時といい、いくつも偶然が重なりコジは最期まで健気で、律儀な子だったんだなぁって。思っていても言葉にしないと伝わらないよって事を最期に教えたかったのかな。
弟の車で迎えに行った11日は晴れ渡った夏空で、またコジが喜んでるなと空を見上げて思ったんだ。
大好きなお兄ちゃんに迎えに来て貰えて良かったねと、この日も綺麗好きなコジのために早起きして磨いたという黒い車の後部座席に大きくて真っ白なコジを座らせてあげると弟は、危ないから家まで付けて帰ろうねと泣きながらお骨にシートベルトをきつく締めてくれた。その姿を見ていて、コジこれが僕の新しい車だから事故からずっと守ってやってねと願ったのと同時に、弟はきっと将来立派な父親になるなと姉の私はそう思いました。
コジはその純粋な心の目で全てを悟っていたのかな。残される私たちの事を考えてくれてたのかな。
優しい子、最期まで願いを聞いてくれてどうもありがとう。
夢でもいいから、一目だけでいいから会いたいなぁ。どうしてもどうしてもどうしても会いたくなってしまうよコジロー。