「いい絵」とプチ哲学
佐藤雅彦氏著作「プチ哲学」をカルチャーの生徒さんから頂いた。
20魔法の杖というページの話が特に印象に残った。
お猿が魔法使いに
「一度でいいからバナナをおなかいっぱい食べてみたいのです。」
とお願いする。
魔法使いは「よし 叶えてやる。」と杖をトンとつく。
するとモクモク・・・
お猿のお腹がバナナでいっぱいに膨れました。
お猿「そういうことじゃ なくて・・・」
最終的な結果が目的なのではなく、念願のバナナを思いっきり食べ
たいという その経過が目的だったりする。
私もお猿の真似をして魔法使いに
「いい絵を描きたい。」
とお願いして パッといい絵が現れたところで仕方がない。
単に素晴らしい作品を残したいというわけでなくて、描いていく
その過程を楽しみたいのだ。
それに「いい絵」って何じゃろ?
しかも魔法使いが どんなに「いい絵」を出してくれたとしても
「なんか 違う~」と偉そうに否定するだろう。
理想はどこまでいっても理想なのだろう。(カントの理念論みたいに・・・)
千利休が求めた「あるがまま」のように現実には無いモノ。
「いい絵」は見えたとしても 到達することのないモノなのかも
しれない。
だから あと10年経ったとしても「いい絵」は描けないかもしれ
ないが、今のように元気で好きな絵を描き続けていられたら
幸せなのだろうと思う。
絵を描いていると他者から評価されなくても 個人的に心が
澄んでくるような喜びを勝手に感じられるのが 楽しい。