「ムー」がいない |  SHOKEI 'S TIMES

「ムー」がいない

「ムー」というのは家の中で飼っていた猫の名前だ。

そのムーが亡くなった。おとなしい猫だった。

 

        

 

16才半だから人間に換算すると82才ぐらいのお婆さんに

なっていたことになる。

住まいの関係で最近は 長女にムーの面倒をみてもらっていたのだが、

一ヶ月ぐらい前から便秘気味で病院通いをしていた。

 

よくあることなので すぐに回復するだろうと思っていたが、今回は

容態がどんどん悪化してしまい、食事もとらなくなってしまった。

 

下剤や水を飲ませたり、レントゲンや血液検査などをして診察して

もらっていたが 良くならなかった。

 

夜、長女が仕事から帰宅した時、ムーが妙な声で少しだけ鳴いたそうだ。

そして箱で作ったたムーの部屋の出口から必死になって顔を出してきた。

長女が抱き上げると その腕の中でふっと亡くなってしまった。

亡くなった瞬間、体重が重くなった気がしたそうた。

人間でも死ぬとその瞬間、重くなるという話をきくが、皆そうなのかと

不思議に思う。

 

翌朝、会いに行ったが 既に硬直していた。

生存中には3.7kg以上あった体重が 2.8kgになっていた。

 

痩せて固まって、本当にナキガラ(亡骸)という感じだ。

自分も亡くなったら こんな風に 物になってしまうのだなと思った。

 

 

ペットの火葬は何やら混んでいるそうで順番待ちになった。 

暫くは火葬場の冷蔵庫の中にいる。

 

翌日、銀座の「ギャラリー一枚の繪」にたまたま行ったら 入り口の傍に

偶然、私の描いたムーの絵が飾られていた。

 

          

 

縁側の陽だまりでうたた寝している絵だが、こんな感じで亡くなっていた。

 

16年前に猫を飼うことになったのは、この「一枚の繪」からの猫の絵の

依頼から始まった事を思い出した。