図形絵画について〜
前回のブログに取り上げた「図形絵画」について
質問があったので~ ちょっと補足です・・・
ブログで言いたかった図形絵画は 画家の荒川修作氏の1970年代の
作品のような文字を書き入れた作品のことでした。
鑑賞者は 文字を読んで 頭の中で絵をイメージしていきます。
つまり鑑賞者の頭の中で 絵画が作られていく・・・
画家が 絵を描かずに 言葉や記号等でイメージを出します。
これは ある意味、昔の聖画像の方法論と似ていると思います。
![$ SHOKEI 's TIMES-1](https://stat.ameba.jp/user_images/20100511/22/s0008/19/a6/j/t02200386_0285050010537312360.jpg?caw=800)
描いているだけなので
絵の中の神は 真の神ではありません。
神は信者のそれぞれの頭(心)の中に在る
のでしょう。
それを 取り出して見る事はできないので
暗喩的な表現になりますが 画家が描くことで
神と言う普遍的な概念に いつでも触れやすく
なるわけです。
そうであるならば絵に描かなくても「神」という
文字で表しても 同じようなことが言える・・と
左図のマティスの目鼻の無い人物画も普遍性と
フォルム意識からでしょう。
マティス
この3つが なんと同じサイズだという絵を見たことがある。
どうしてかと言うと・・・
なんか 「なぞなぞごっこ」みたいね
![$ SHOKEI 's TIMES-8](https://stat.ameba.jp/user_images/20120120/22/s0008/91/54/j/t02200326_0350051911745897048.jpg?caw=800)
と ここまで書いたら
荒川修作氏の その作品が
見つかりました。
右の作品が その絵画・・・→
(正方形が4つの記憶違いでした。)
しかし このゲームのような内容は、題材(モチーフ)にすぎません。
例えばセザンヌが描いた林檎も それはモチーフであって、
林檎が描きたいのではなく、「絵」が描きたかった(レアリザシオン)ように
荒川氏の作品も そのユーモアの意味が わかったところで、
それは作品の一部でしかなく「見た」ことにはならないでしょう。
映画に於いて ストーリーのあらすじだけを理解して満足していたら
映画の本体の醍醐味を味わえないと同じだと思います。
絵も文学も音楽も 鑑賞する時は その作家が作り出した世界や時間に
1対1で向き合って 浸りたいと思います。 意味や観念ではなく
ちょっとした言い回しや口癖、匂いやリズム 筆使いやセンスが
私たちを ふっと解放させてくれる瞬間を味わいたいと思うのです。
図形絵画は 所謂、抽象絵画になります。
一般的に 抽象画というと自然や見えたモノを元にして
単純なフォルムや幾何形態に帰納せさせた絵が多いのですが、
目に見えないモノを描こうとした美術の流れもあります。
![$ SHOKEI 's TIMES-マレーヴィッチ](https://stat.ameba.jp/user_images/20120120/22/s0008/d3/da/j/t02200224_0442045011745897046.jpg?caw=800)
たとえば マレー・ヴィッチらの絵画には
現実のモノを喚起させることをしません。
白いキャンバス地に白い正方形を描いただけです。
自然を意識したモンドリアンや
感覚的なカンディンスキー等とは
全く異なる志向で
絵画に於ける「真」を追求しました。
そこには 古代ギリシャのプラトンが ほんものを「イデア」と呼び、
真・善・美などは イデアであり、目には見えないという考えがあります。
たとえば 円周率πは3.1415926・・だから半径から円周の長さを出しても
答えは割り切れず正しい長さは求められません。
正方形の対角線の長さを√2で出そうとしても1.41421356・・・・
これまた割り切れません。
四捨五入した だいたいの数値を代用?して表しています。
それに幾何学的な形態自体、点は面積が無いし、線は幅が無いので
厳密には もともと見えないのは周知の通りです。
この世の目に見えるモノは虚であると~
厳格でそれだけでしかない白い正方形を
白い地に メタファー(暗喩、隠喩)として描くことで
イデア界に通じるような 宗教的な緊迫感を
示しているように思われます。
旅先等で 海や山の風景を見て感動するのは
その風景の奥にある幾何学的なフォルム(イデア)を
無意識に見出だしているからかもしれません。
人間は もともとイデア界の住人だった とか
言っていた人もいるので・・・・
抽象的な絵が もっと市民権を得ても いいんじゃない?
ま いろいろな絵が あるってことを言いたかった~
あぁ・・・少しだけ 補足しようとしただけなのに
またまた 長くなっちまった。お疲れ様です。