新星景写真 南天での画像編集の作例  | 写楽のブログ

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6/29 0:35撮影(再現時間)

EOS 5Ds SEO-SP4 + EF16-35mm F2.8LⅢ USM         KENKOスカイメモS使用

(固定撮影)6/28 23:53~ ISO2000 f/4  S=70s × 16、ISO2000 f/4  S=90s × 4

(追尾撮影)6/29 0:29~ ISO2000 f/4  S=110s × 2、ISO2000 f/4  S=130s × 8

 

 

先週の日曜から月曜にかけて地元で撮影した天の川ですが、今回はその編集過程を書い

ておきます。ご興味のある方は一読お願いします。(^^)

 

さて、新星景写真というのは、地上の風景と星空をコンポジットして、風景も星も流れていない

姿を再現するものですが、地上風景と星空をコンポジットする時、撮影方向によっては簡単に

出来る場合とそうでない場合とがあります。

下の画像は、去年の5月に飛騨白川郷で撮影したものです。この場合は東の空から昇って

きた天の川を追尾する形となり、固定撮影→追尾撮影の順で撮影し、それぞれを加算平均

合成してから、PSでマスク合成(この場合、山の稜線を境界線にして)すれば上手く辻褄が

合い、追尾画像を合成する際に出来る地上前景の影も山の稜線に隠れてくれます。

 

 

 

①固定画像、13枚をステライメージ7で加算平均

 

 

 

 

 

②追尾画像10枚、加算平均後強調処理

 

 

 

 

 

①と②を二値マスク合成

風景漏れもなく、Good !

 

 

 

このように、東側から昇ってくる天体を追尾する場合は、風景漏れを心配する事なく

処理が可能です。(地平線や山の稜線が複雑な場合は例外もあります。)

また、西側に沈んでいく天体の場合はその逆になり、追尾撮影→固定撮影の順に

撮影してそれぞれをコンポジットしてマスク合成すれば、例外を除けば風景漏れは発生

しません。

 

 

このように、東と西については流れた風景の影が漏れ出すことは回避できるのですが、

南側においてはそうはいきません。追尾した際の地上の流れた影が盛大に漏れ出して

きます。(;+)困りますナ~。

その対応策として、

①追尾画像の星の位置合わせをした後、比較明合成で地上の流れた影を消す。

 (比較明合成なので星空のノイズ低減はこのままでは不可です。)

 → 僕が前々回アップした画像をご覧ください。

    https://ameblo.jp/s-y-a-r-a-k-u/page-2.html

 

②今回紹介する編集過程のように、固定画像を撮影後、赤道儀の赤経軸を少し東側に

ずらしてから追尾撮影する。

 

というふたつの対策案があります。星景カメラマンさん、この手法取り入れてやっている方、

けっこう居ると思います。

 

 

 

 

 

それでは、今回のブログは②の編集過程を順を追って記入していきます。

 

 

画像A

まずは、前景用の固定画像20枚をコンポジットしたもの。(ステラでσクリッピング加算平均)

 

 

 

 

 

画像B

赤経軸を少し東側に戻してから追尾、5画像をSequatorでコンポジット。赤経軸を戻す時は

スカイメモのクラッチを緩め、カメラの内蔵水準器を見て1目盛り程度戻しました。(以下)

 

 

 

 

 

 

画像C

続いて、追尾6画像目(再現時間は追尾6画像目のスタート時間としました。)から10画像目

までの5画像をSequatorでコンポジットします。

 

この場合、追尾前半と後半で分けてコンポジット作業をしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

画像D

次は、画像BとCを画面の真ん中付近を境として合成します。境目が分からなくなるように

露出やWBを整えます。これで風景漏れを無くすことができます。画面を左右に分けてそれ

ぞれ、いいとこ取りをするのです!(^^)

 

 

画像E

画像Dをステライメージ7でソフトビニングする。これが出来上がったフラット画像。作成の仕方は以下

HPを参照して下さい。面倒ですが、南天の新星景を完成させる為には我慢デス!(汗)

https://astro.allok.biz/image-processing/soft-binning-flat-correction-method/

 

 

 

 

画像F

画像Eを使ってフラット補正後の追尾画像です。

 

 

 

 

 

画像G

レベル補正して少し強調しておきます。

 

 

 

 

 

 

 

画像H

画像GをStarnet++を使って星消し、多少強調処理する。

 

 

 

 

 

画像 I

画像Gと画像HをPSでブレンド。こうして追尾画像は完成しました!

 

 

画像 I (追尾完成画像)と画像A(固定画像)を山の稜線を境界にマスク合成したものが完成と

なり(冒頭の画像)ます。

 

 

面倒で時間もかかりますが、今後はこのように実行していきたいですね!

その際の注意事項は次のようなところでしょうか。

 

・固定撮影から追尾撮影に移る際、赤経軸を東にずらす作業は慎重に!クラッチを締めたり

緩めたりするので軸がずれないように細心の注意をする必要があります。ポタ赤より大きい

赤道儀であれば心配はないと思います。

 

・追尾画像のソフトビニング作業に慣れること。これは回数をこなして綺麗なフラット画像を作る

ことですね。

 

 

本日はここまでです。

ご訪問、ありがとうございました!(^^)

今後も撮影~編集まで頑張りマス!