この終末世界はまったりとして退屈『ラスト・サバイバー』
終末世界を描いたベストセラー小説『The Dog Stars』を巨匠リドリー・スコットが映画化した邦題『ラスト・サバイバー』はインフルエンザのパンデミックにより人類が壊滅状態となった地上で飼い犬とともにサバイバル生活を繰り広げる中年男の物語だ。
飛行機整備士のヒッグ(ジェイコブ・エロルディ)は大自然が残るコロラド州エリーで愛犬ジャスパー、元海兵隊のスナイパー、バングリー(ジョシュ・ブローリン)とともにパンデミックで崩壊した地上世界で生き延びていた。彼らの住処は時折狂人化した暴徒らに襲われるがバングリーは容赦なく彼らを撃ち殺す。
セスナ機で飛行中のヒッグは通信機からグランドジャンクションという地域から無線を受け取る。同地区に大勢の人が暮らしているのではないかと考えるヒッグは安住の地を求めて旅立とうとするが、バングリーは「そんな場所はない。夢物語に過ぎない」とエリーに止まることを選択する。
グランドジャンクションを目指して飛び立つもセスナの不調で渓谷地に緊急着陸。そこはジャック(ガイ・ピアース)とシーマ(マーガレット・クアリー)父娘の暮らす土地だった。ジャックからよそ者は出ていけと追い返されるも、シーマはヒッグの世話をするようになり、やがてジャックも彼を受け入れてゆく。かつてパンデミックで夫を亡くしたシーマはヒッグに彼の面影を観るようになるが、ヒッグも病に苦しむ妻を安楽死させた過去を背負っており、彼女の気持ちに答えられない。
平和だったその土地も暴徒に襲撃され命からがらセスナで脱出した3名はついにグランドジャンクションとの無線交信に成功する。
終末世界のサバイバルと聞いてどれだけハードな生き残りの日々が展開するのかと思うと、めっちゃまったりとした生活なので腰抜けちゃう。ヒッグはセスナで毎日飛んで(燃料どうなってんの?)物資が残っている街からスプライトの箱をくすねてメノナイト(メノー派)の暮らすコミューンに持っていく(この人達もどうやって暮らしてんだ・・・)。コミューンの指導者役は『ウェポンズ』の走ってくる校長ベネディクト・ウォン。
時折襲ってくる『マッドマックス』か『北斗の拳』に出てくるようなヒャッハー集団もどうやって生活を維持しているのかわかんないし、この世界の終末設定がよくわからない。その辺は『北斗の拳』と同じだね。
タイトルが犬の星だし、ポスターに象徴的に犬が出てくるから、どれだけ活躍するんかと思ったら序盤ですぐに死ぬ!あっさりと死ぬ!犬は病に斃れた妻とともに可愛がった思い出があるため、ヒッグは焦燥感に包まれるのだが「もう希望はグランドジャンクションにしかない!」とばかりに旅立つともう犬のことなんて全く思い出さない(笑) 犬の扱いひどすぎるんじゃない?
※以下ネタバレです
セスナが不時着した土地で出会ったシーマはともに連れ合いを亡くしたということから心を通わせていくが、ヒッグは妻の安楽死に手を貸したトラウマから妻への思いを振り切れない。なんなら犬への思いより強い。この二人がくっつくがどうかが以降の話の中心になるんだけど、オチは見えてるじゃない?
さらに彼らは安住の地グランドジャンクションにたどり着くんだけど、当然そこはロクでもない場所で男は殺して(しかも食肉にしている)女は嫁にするだけのディストピアだった!ってそれ『28日後…』じゃねーか!!
中盤以降は次に何が起こるか手に取るようにわかる、想像の範囲内でしか話が進まない。ザック・クレッガーの『バーバリアン』『WEAPONS/ウェポンズ』みたいに最近の流行りは先の読めないサスペンスなんだからこの映画全体的にまったりしていて驚きがまったくないよ!
監督のリドリー・スコットはそういうところには全然興味がないみたいで、ヒッグが過去のトラウマを乗り越えられずにいるのを新しい人々との出会いで取り戻していく・・・という人の優しさこそ大事なんだって訴えるんだけど、それをまったりとした演出でやられてもこっちは退屈なだけですよ!
それに人の優しさは犬には通じないっていうのもな!犬を助けてやれよ!
原作なんだけど、上下巻にしてまで書くことある?
全然関係ないアラブ首長国連邦の終末世界サバイバル映画
元ネタ
