凶悪犯罪者は必ず逮捕『犯罪都市 PUNISHMENT』 | しばりやトーマスの斜陽産業・続

凶悪犯罪者は必ず逮捕『犯罪都市 PUNISHMENT』

 マ・ドンソク演じる拳刑事マ・ソクトが活躍するアクションシリーズ最新作『犯罪都市 PUNISHMENT』は7年間(2017~2024)で4作品も作られている人気シリーズで「4作目にもなるとマンネリじゃない?」という観客の予想を軽く裏切ってシリーズ最高潮に達している。

 

 今回の敵は違法オンラインカジノ「皇帝カジノ」で大儲けするIT長者チャン・ドンチョル(イ・ドンフィ)と彼に雇われ、ライバルのオンラインカジノを暴力で叩き潰す狂人ペク・チャンギ(キム・ムヨル)。

 

 ソクト刑事(ドンソク)らソウル地方警察庁広域捜査隊は麻薬密売組織のアジトに殴り込み、組織を壊滅させる。組織は麻薬取引をアプリを通じて行っていた。そのアプリは韓国人プログラマー、チョ・ソンジェ(ペク・スホ)が開発したもので、オープンソースであったことを聞かされたソクト刑事は「じゃあ、閉まる前に行かないとな」とIT音痴ギャグをかます。

 

 しかしソンジェはフィリピンで何者かに刺殺されていた。遺体からは激しい暴力の跡があり、長期間監禁されていたことをうかがわせた。ソンジェの母は一人息子の残酷すぎる死に耐えきれず自ら命を絶つ。母から「息子の仇をとってください」と遺言を託されたソクトは事件の解決を誓う(ここがシリーズにあまりない涙を誘うポイントになっている)。

 

 サイバー捜査隊と協力して捜査を開始したソクトらはソンジェの開発したアプリが違法オンラインカジノ「皇帝カジノ」に使われていることがわかり、正体不明の黒幕を探るためにかつての事件を通じて知り合ったヤクザ、イス組の元ボス、チャン・イス(パク・ジファン)に協力を要請(と言うより無理やり従わせる)。

 イスはかつてオンラインカジノ事業に参入しようとしたが、皇帝カジノグループによって根拠地を叩き潰されていた。皇帝カジノはオンラインカジノ事業を独占するためライバルをことごとく暴力によって排除、殺人すらも厭わない残忍な手口はさすがのイスも参入を諦めるほどであった。

 ソクトらは潜入捜査を開始、皇帝カジノのマネーロンダリング担当者を捕まえるが、皇帝カジノのオーナーであるIT長者チャン・ドンチョルは暴力担当のペク・チャンギを使い、警察に忍び込んでマネーロンダリング担当者を殺害。

 皇帝カジノは盤石と思われたが、ドンチョルはチャンギを狂人扱いし、マフィアのクォン・テウン(ヒョン・ボンシク)を使い始末しようとする。そんなドンチョルの本心を見抜いていたチャンギとその右腕チョ・ジフン(キム・ジフン)はクォンを返り討ちにし、共に組んでドンチョルの資産を奪い取る計画を持ち掛ける。

 捜査の中止を命令する上司に「被害者の母親から頼まれたのです。辞めることはできない」と説得、捜査の継続を勝ち取ったソクトらは皇帝カジノを一網打尽にする奇抜な計画を実行に移すのだった。

 

 

 基本このシリーズは毎回同じ展開だ。巨大な犯罪組織の暗躍を感じ取ったソクトはまず下っ端のチンピラを小突き回して情報を吐かせる。大抵そいつらは雇われてるだけなので雇い主をさらに殴り倒し最後に黒幕をボコボコにするという流れ。わらしべ長者みたいな話だ。

 マンネリにしても痛快すぎるので飽きがない。この手の作品はハリウッドなら凄まじい銃撃戦になってアジトが大爆発、犯人も黒幕も皆殺しのハッピーエンド(?)だ。

 だが『犯罪都市』シリーズは銃撃戦はほとんどなく、ソクトは己の身体と拳のみで悪党どもを叩きのめす。悪党は文字通りの凶悪犯罪者なので武器を持ち出すがソクトは身体一つで悪党を粉砕する。

「今まで殺さないよう気を付けてきたが、もう手加減できん」

と言うシリーズ屈指の名台詞が炸裂するが、それでもソクトの最終手段は「逮捕」だ。本当に殺す寸前まではやっちゃうけれど、最後は逮捕する。

 かつてハリウッドのアクション映画はシュワルツェネッガーやスタローン、ブルース・ウィリスらが演じる刑事が悪党を容赦なく皆殺しにして強引にハッピーエンドにしていたが彼らが現役でなくなり、入れ替わるように誕生したマ・ドンソク演じる刑事はどんなに凶悪な犯罪者も逮捕する。この一線を越えないあたりが『犯罪都市』シリーズを痛快かつリアルに留めている魅力だろう。僕等はもう皆殺しハッピーエンドに喝采を送ることはできない。

 シリーズは現在8作目までを予定しているそうだがどんなにマンネリでも必ず最後には「逮捕」するソクト刑事を応援できるだろう。

 

 本作はシリーズの人気キャラであるイス社長とのバディものになっている側面もあり、「悪だけど憎めない」イス社長に次回も期待!今作では主題歌まで歌っていて、こいつが最高なのでぜひ聞いてほしい。