ジャニーズのおまえら行くな『禁じられた遊び』 | しばりやトーマスの斜陽産業・続

ジャニーズのおまえら行くな『禁じられた遊び』

 映画『禁じられた遊び』『女優霊』『リング』でJホラーという新たなジャンルを切り開いた中田秀夫監督の最新作だ。最近の中田秀夫は貞子をブラウン管(懐かしい表現)の奥から登場させて世間をビビらせたことなどすっかり忘れて、ジャニーズを主演にした映画で遊ぶことに必死だ。

 KAT-TUNの亀梨和也を主演にした『事故物件 怖い間取り』は売れない芸人に扮した亀梨が元相方とTVプロデューサーの勧めで事故物件に住んだら恐ろしい目に遭うという話だが、怖いのはせいぜい最初だけで、支離滅裂で意味不明な展開が最後まで続く。あの黒いフード被った男は何なの?赤い服の女って何?一切説明されずにエンドロール。

最後に出てくる原作者・松原タニシからのコメントにはゾッとするけど

 TVプロデューサー役の木下ほうかが現実の世界で女性に対して起こしていた性被害の方が怖いというか酷いよね。

 

 でもこの映画がヒットして一定の評価を受けた中田秀夫は続いて「ジャニーズ×Jホラー」の第二弾『‟それ”がいる森』を発表。森の中に住んでいるよくわからない何かが子供を攫っているという話で、離婚した元サラリーマン、嵐の相葉雅紀が攫われそうになった息子のために戦う。

 

 子供を攫う‟それ”の正体は、UFOに乗ってやってきた宇宙人で、子供を攫って強くなり、やがて巨大化する。それって…ジャニー喜多川のことじゃない?

 クライマックスでジャニー喜多川、じゃなかった‟それ”は警官隊と対決するんだけど、巨大な化け物なので警察は歯が立たない。ジャニーは警察の権力など屁でもないっていうことなんだろうなあ。

 ‟それ”の被害を目の前で目撃した小日向文世が

「宇宙人が子供を攫った!」と言っても誰も信用してくれなくて

 親からも「誰にも言うな(バカにされるから)」と言われ、

何十年も‟それ”を研究しているけど世間からは変人扱いされてつまはじきにされる

 …ってのも『光GENJIへ』を出した北公次のことみたいだし。
 

 偶然にそうなっただけだろうとは思いながら、何らかのメッセージが込められているように感じられる二作品を経て、中田秀夫が挑んだのはルネ・クレマンのフランス映画と同名の『禁じられた遊び』。もうタイトルがすでに思わせぶり

 ジャニー喜多川って所属タレントに禁じられた遊びをしていたんだもんなあ。主演はジャニーズWESTの重岡大毅。

 

 新築の30年ローン住居に妻の美雪(ファーストサマーウィカ)と息子の春翔と暮らすサラリーマン伊原直人(重岡)。春翔は庭で切れたトカゲのしっぽを見つける。トカゲのしっぽは切れてもまた生えてくるという直人に春翔は無邪気に聞く。

 

「じゃあ、しっぽからトカゲはまた生えてくるの?」

 

 直人は戯れに「そうだよ」といい、庭に尻尾を埋めてエロイムエッサイムと唱えるといいんだと突然変なことを言い出すのだった。

 父親の冗談を真に受けた春翔はその通りにする。するとトカゲは本当に生えてくる。

 

 後日、美雪と春翔は交通事故に遭い、美雪は即死。春翔は直人の目の前で心肺停止、死亡が確認される…のだが、16時44分、落雷のショックで春翔は蘇る。『オーメン』が666だからこっちは444だってことか(意味不明)

 しかし蘇生した春翔の様子はおかしい。事後現場から持ち去った母親の指を庭に埋め、「お母さん、帰ってくる?」と。母の死にショックを受けていた直人は春翔のいうがままにさせる。春翔は毎日のようにエロイムエッサイムを唱え続ける。そして直人の周囲では不可思議な現象が起こり続ける。

 

  直人と同じ職場の元同僚だったカメラマン・倉沢比呂子(橋本環奈)はかつて、セクハラ上司から助けてもらった恩があることから、美雪の葬儀に駆け付けるが、春翔から異常な視線を向けられ困惑する。それ以降、家で女の影を見たり、「絶対許さない」という声に悩まされる。何も身に覚えがないのに!

 比呂子は仕事で知り合った胡散臭い霊能力者に助けを乞う。しかし霊能力者は「お前のせいで狙われた!」とオフィスに引きこもっていた。彼は本物の霊能力者だったが比呂子に取り憑いていた何かは本物の悪霊だった!霊能力者は無残に殺され、比呂子は悪霊の正体が美雪であると知る。美雪は異常に嫉妬深い女で、お礼をしようと思っていただけの比呂子に「夫に近づかないで!」と当たっていた。その頃、春翔の呪文で蘇ろうとしていた美雪の力で伊原家は崩壊寸前。

 

 これが嫉妬深い女の呪いによって凶行が行われるだけの作品だったらさぞ恐ろしい作品になったろうが、中田秀夫は怖い映画を撮るつもりがまったくないので、一行に怖くならない。変な霊能力者が突然道の真ん中で九字を切ったりして、しかも実際は怪異に歯が立たなくてあっさり死んじゃうとか、ギャグにしか見えない

 美雪の恐ろしい過去が明らかになるシーンも「なんでそうなるの?」という話で、教会みたいな施設に住んでいた美雪は食事の最中にスプーンを超能力で曲げ始める(なんで)。金に汚いシスター(MEGUMI)は美雪の能力にいち早く気が付くが(そりゃ、スプーン曲げてりゃ気づくよね)、嫉妬した施設の子どもたちに嫌がらせをされ、そいつらを能力で抹殺する。

 実はカルト宗教の教祖の子供だったということが明らかにされるのだが、

 それらが一切クライマックスに繋がらないあの電車、一体何なんだよ!?

 最初は春翔に美雪が乗り移って蘇ったのかと思ったら、能力だけが受け継がれていたというオチで、じゃあ比呂子に嫉妬の目を向けるのおかしくない?

 またこの比呂子という女が観客の共感を呼ばないキャラクターで、彼女は「自分は何もしてないのに周囲が近寄ってくる」というキャラで、身に覚えのない被害を受ける度に「なんで、私が」という、現実にもこういう人いますよね。映画の中で起きる被害の9割はお前のせいだろ!と言いたくなる。橋本環奈がでっかい目を開いて恐れおののく姿もまた、ギャグにしか見えない。

 

 それにしても、MEGUMIの

 能力を持った子供を使って金に換えようとする大人、まさにジャニーズやん!それにジャニーズのタレントが出るってまあ…

 

 偶然にしても最近の作品すべてがジャニーズの何かを伝えようとしているように見える中田秀夫作品、違う意味で目が離せない。映画は全然怖くないので安心して観られるし。しつこくいうけど、ジャニー喜多川が現実にやっていたことの方がよっぽどホラーだから。