ラジー賞、2年連続で謝罪する | しばりやトーマスの斜陽産業・続

ラジー賞、2年連続で謝罪する

 サイテーの映画を決める第43回ゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)のノミネートが発表されたが、最低助演女優賞にリメイク版『炎の少女チャーリー』に主演した12歳のライアン・キーラ・アームストロングがノミネートしたことが波紋を呼び、最終的にノミネートを取り消し、同賞を創設したジョン・J・B・ウィルソンがアームストロングに謝罪、今後未成年をノミネートしないことを発表。

 

 

 ラジー賞はコピーライターをしていたウィルソンが本家アカデミー賞発表の日に自宅で友人たちを招いたパーティがきっかけではじまった。パーティでウィルソンは参加者にワースト映画を決めるための投票用紙を配り、即席映画祭を催した。栄えある第一回受賞作品は「Y.M.C.A」でおなじみのヴィレッジ・ピープル誕生からデビューまでをフィクションで描いた『ミュージック ミュージック』だ!

 これが単に映画オタクが身内だけでやってる内輪ノリのイベントなら見向きもされなかったろうが、アカデミー関連のマーケティングビジネスをしていたウィルソンの顔の広さもあって、ラジー賞はすぐ地元の新聞に取り上げられ、会費を払えば誰でも会員になれ、投票ができるという間口の広さもあって、第4回目の時にはテレビ中継が始まった。

 本家に対するパロディ、カウンターの意味で始まった同賞はリベラルな映画人のユーモアさを表す賞でもある。特定の人間を必要以上にいじったり、誹謗中傷するための賞ではないのだが、今回のようなケースや、2022年には8本もの映画(しかも全部駄作)に出演したブルース・ウィリスをネタにした「ブルース・ウィリスによる2021年映画の最低演技」賞を創設するも、直後にウィリスが失語症のため俳優業を引退すると発表したため、「不適切であった」としてノミネートを取り消す事態が起きていた。

 今回の騒ぎではオリジナルの『炎の少女チャーリー』に主演したドリュー・バリモアも批判を寄せている。バリモアは第20回ラジー賞に『スター・ウォーズ エピソードⅠ/ファントム・メナス』でアナキン役を演じたジェイク・ロイド(当時11歳)がノミネートしていたことにも触れ「当時はソーシャルメディアがなかった」ことから批判は起きなかったとしている。

 こういう面白おかしくネタをいじることをすべて「悪口、いじめ」と決めつけられたら、それはそれで息苦しい世の中になると思うけどね。BPOの視聴者の意見みたいなのが正しいとされるんでしょ。

 本家みたいに褒めたたえるだけにすればいいのに、という意見もあるが、その本家では去年、司会者のジョークで奥さんをイジられたことに切れたウィル・スミスが暴力を振るったらスミスの方が悪いように言われたのよ。スミスが切れるまで、会場にいた客のほとんどはひどいジョークを責めることなく、同調して笑ってたのに。本家のジョークの方も大概だよ。

 

 ちなみに今年のラジー賞ノミネートは以下です。有力は3時間の虐待ショーが繰り広げられる『ブロンド』です。

 

 

〇最低映画賞
『ブロンド』
『ピノキオ』
『グッド・モウニング 人生最悪のハイな1日』
『The King’s Daughter(原題)』
『モービウス』

〇最低主演男優賞
コールソン・ベイカー(akaマシン・ガン・ケリー)『グッド・モウニング 人生最悪のハイな1日』
ピート・デヴィッドソン(声の出演)『マーマデューク』
トム・ハンクス『ピノキオ』
ジャレッド・レト『モービウス』
シルヴェスター・スタローン『サマリタン』

〇最低主演女優賞
ライアン・キーラ・アームストロング『炎の少女チャーリー』
ブライス・ダラス・ハワード『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』
ダイアン・キートン『マック&リタ』
カヤ・スコデラーリオ『The King’s Daughter(原題)』
アリシア・シルヴァーストーン『ジョーズ・バケーション』

〇最低助演男優賞
ピート・デヴィッドソン(カメオ出演)『グッド・モウニング 人生最悪のハイな1日』
トム・ハンクス『エルヴィス』
ゼイヴィア・サミュエル『ブロンド』
モッド・サン『グッド・モウニング 人生最悪のハイな1日』
エヴァン・ウィリアムズ『ブロンド』

〇最低助演女優賞
アドリア・アルホナ『モービウス』
ロレイン・ブラッコ(声の出演)『ピノキオ』
ペネロペ・クルス『355』
ファン・ビンビン『355』と『The King’s Daughter(原題)』
ミラ・ソルヴィノ『Lamborghini: The Man Behind the Legend(原題)』

〇最低スクリーンカップル賞
コールソン・ベイカー(akaマシン・ガン・ケリー)&モッド・サン『グッド・モウニング 人生最悪のハイな1日』
虚偽のホワイトハウスのベッドシーンに登場する実在のキャラクター2人『ブロンド』
トム・ハンクス&重いラテックスのメイク顔(と馬鹿げたアクセント)『エルヴィス』
アンドリュー・ドミニク&彼の女性に対する意識の問題『ブロンド』
『愛は、365の日々で』の続編2作(ともに2022年公開)

〇最低監督賞
ジャド・アパトー『ザ・バブル』
コールソン・ベイカー(akaマシン・ガン・ケリー)&モッド・サン『グッド・モウニング 人生最悪のハイな1日』
アンドリュー・ドミニク『ブロンド』
ダニエル・エスピノーサ『モービウス』
ロバート・ゼメキス『ピノキオ』

〇最低脚本賞
『ブロンド』/“伝記本”ジョイス・キャロル・オーツを基にしたアンドリュー・ドミニクの脚本
『ピノキオ』/ロバート・ゼメキスとクリス・ワイツの脚本(カルロ・コッローディの遺産管理団体非公認)
『グッド・モウニング 人生最悪のハイな1日』/マシン・ガン・ケリー&モッド・サンが“執筆”
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』/エミリー・カーマイケル&コリン・トレボロウの脚本、トレボロウ&デレク・コノリーのストーリー原案
『モービウス』/マット・サザマ&バーク・シャープレスのストーリーと脚本

〇最低リメイク・パクリ・続編賞
『ブロンド』
『愛は、365の日々で』の続編2作『愛は、この日を迎えて』、『愛は、新たな日々へ』(ラジーのスペシャルオファー)
『ピノキオ』
『炎の少女チャーリー』
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』

 

 

バリモア版

今回のやつ

テレビ用に作られたバリモア版の「続編」