2022年映画ベスト | しばりやトーマスの斜陽産業・続

2022年映画ベスト

 年が明けてもう数日経ったので、新年感が全然ないのだけど、せっかくなので去年を振り返る意味で映画ベスト企画です。といってもそんなに大した数を見ていないので(映画の記事書く仕事してるのに)、順不同で10本選ぼうとしたらあれもこれもとふえちゃったので10本以上ありますが気にしないでください。

 

 

〇シン・ウルトラマン

昭和の特撮を新たにリメイクすると「違う、そうじゃない」感になってしまいがちなところを「独自解釈」で再構築するという試みを成功させていた点は高く評価できる。意表を突くオープニングの仕掛けなど、オタクの痒い所に手が届く演出もたまらなかった。

 

〇スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム

三つのスパイダーマン世界がひとつにつながって三人のスパイダーマンが一堂に会するというシーンだけでも見どころがある。佐藤健一人出すのが関の山の東映作品とは大違い。

 

〇ザ・バットマン

マーベル作品に比べていろいろ大変らしいDCコミックス映画唯一の良心。ノーラン以降のバットマン映画がリアル志向になっているのはあんまり好きじゃないけど、これは別格。権力者をぶち殺せ!そうでなければ世の中は変わらない!権力者に追随する民衆も敵だ!という悪役の主張に観客が共感できるようになっており、どうかしている。そして破壊や殺戮、テロリズムでは世の中は変えられないということも示している。

 

〇バッドマン 史上最低のスーパーヒーロー

フランス版シティーハンターの人、フィリップ・ラショーの最新作はアメコミヒーローもののパロディ映画。ラショーいつもの下品なギャグも散りばめられ、おふざけ全開だがアクションは本家顔負け、きちんと泣ける場面もあり、コメディ映画を馬鹿にしてはならないという覚悟を感じた。スパイダーマンのキスシーンのパロディは、爆笑した。

 

〇ゴーストバスターズ/アフターライフ

懐かし映画が現代に蘇った際、かつてのキャスティングが再集結するというのは、もうお約束になってきて驚きも薄れているがこの映画はすでに亡くなったハロルド・ライミスをCGで復活させる(本当のゴーストだ!)という掟破りに挑んで、感動できるシーンになっていた。旧ゴーストバスターズから新メンバーへの「継承」の映画になっており、監督も前シリーズのアイヴァン・ライトマンから息子のジェイソン・ライトマンに継承された、というのも泣ける話。

 

〇映画「ゆるキャン△」

今年一番見た映画。野クルメンバーが全員成長して社会に出ているという、オタクが好む深夜萌えアニメでは絶対やってはいけないパターンに挑んでいたチャレンジングスピリッツ溢れる傑作。社会のつらさが身に染みる。

 

〇さかなのこ

さかなクンの自伝を元にした劇映画。さかなクンを演じるのはなぜかのん。さかなクンは近所に住んでいる不審人物として登場という、攻めすぎ企画。『モヒカン故郷へ帰る』などの沖田修一監督のオフビートな演出がなんともいえない笑いを誘う。そしてちょっと変わった子供をどう育てればいいかという子育て指南映画なのだ。

 

〇NOPE/ノープ

正体不明の宇宙人がUFOで人を浚うという擦られ過ぎたネタをアイデアでまったく新しい物語にしてしまった!『〝それ”がいる森』とは大違いだ!チンパンジーが怖い!

 

〇オカルトの森へようこそ THE MOVIE

日本のオカルト映画代表。『コワすぎ!』の白石監督作なので、おなじみのメンバーによるおなじみのキャラクターが世界の破滅を回避するために暗躍する。なにかというとすぐに「頭おかしいんじゃないですか?病院行った方がいいですよ!」というAD市川、面白過ぎるんよ。

 

〇月下香

グラドルの清瀬汐希が初の濡れ場に挑戦した不倫がテーマの背徳ドラマ。新進気鋭の画家の青年と清瀬演じる人妻が知り合って、いけない関係になっていくというやつで、リルケの詩をきっかけに惹かれ合うというのは鼻白むが、この手の作品では夫役が実はクズ人間でそりゃあ不倫もしたくなるわな!という話になりがちが、夫は極めて良心的な人物として描かれているので、人妻はどんどん罪悪感に塗れていくというのが良かった。清瀬はトップレスまで披露しているが、今時の作品らしくインティマシー・コーディネートが入っており、それがセクシーグラドルだった小松みゆきなの。インティマシー・コーディネーターの資格は日本では二人しかいないため、彼女は正式な資格がないため、コーディネーターの肩書は名乗ってないが、意見は出したという。資格ないけど、コーディネート、って名乗っていいの?と疑問だけど僕も以前「映画面白コメンテイター」と資格ないのに名乗ってたから、まあいいか!

 

〇その声のあなたへ

ベテラン声優、内海賢二(故人)の人生を辿りながら声優という職業について迫るドキュメント。小さいころに母親を亡くして記憶のない内海さんが亡くなる直前に母親の話をし始めるという、そんなことってあるんだなあと不思議な気持ちになった。

 

〇タヌキ社長

今年の河崎実作品。不条理どうぶつシリーズの最新作で、タマキン丸出しのタヌキ社長がハッスル!30分以上にも及ぶレインボーのネタは一体何を見せられているんだ、俺たちは!と劇場で唖然とした。

 

 

 というわけで以上が今年のベスト映画かな。ちなみにワーストは『大怪獣のあとしまつ』『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』『バブル』の三本です。