ヤプール人の魔の手が伸びる『パシフィック・リム:アップライジング』 | しばりやトーマスの斜陽産業・続

ヤプール人の魔の手が伸びる『パシフィック・リム:アップライジング』

※この記事は前ブログの過去記事(2018年05月07日)の再録です


 奴らが帰ってきた!巨大ロボットとカイジュウ(怪獣ではない)が地球の覇権をかけて激突する映画『パシフィック・リム』5年ぶりの続編だ。怪獣大好き!ロボット大好き!なオタク監督ギレルモ・デル・トロは『シェイプ・オブ・ウォーター』に専念していたので今回の監督はスティーヴン・S・デナイトにバトンタッチ。デナイト監督はデル・トロに負けず劣らずのオタクなので、異なるアプローチで続編に挑んだ。


 海底の裂け目からやってくるカイジュウと異種族プリカーサーの侵略を巨大人型兵器イェーガーで撃退した人類は10年もの間、つかの間の平和をむさぼっていたがPPDC(環太平洋防衛軍)はカイジュウたちの再来に備えて新型イェーガーの開発とパイロットの育成を急いでいた。
 中国の巨大企業、シャオ産業は元PPDCの研究員だったガイズラー(チャーリー・デイ)の協力の元、無人機ドローン・イェーガーの開発に着手。新型の有人機第6世代イェーガーか、無人機のドローン・イェーガーのどちらを正式採用する採択されるシドニー会議の場に謎の黒いイェーガー、オプシディアン・フューリーが現れ会場を破壊する。前回にはなかったロボット同士の激突だ!しかも相手のボディは黒!ライバルロボットはやはり黒でないとな…!デナイト監督の「おまえ、わかってるな」感が早くも炸裂する!
 前作で地球を救った英雄ペントコストの息子ジェイク(ジョン・ボイエガ)と相棒ネイト(スコット・イーストウッド)のあやつるジプシー・アベンジャーはあっさり敗れ、同じく前作の英雄だった森マコ(菊地凛子)もあっさり死亡!これがあまりに突然の死すぎて、デナイト監督はマコの死を受け入れられないファンにインタビューを通して解説することに。

【ネタバレあり】デナイト監督のパシリム裏話
https://twitter.com/i/moments/993059828313411584

 マコが死の直前に送信したデータからシベリアの廃棄されたイェーガー燃料工場に向かったジプシー・アベンジャーは再び現れたオプシディアン・フューリーを撃退。コックピットにはカイジュウの細胞が埋め込まれていた。この事態にPPDCはドローン・イェーガーの採用を決める。ハーマン博士(バーン・ゴッドリーブ)はガイズラーが10年前にカイジュウの脳とリンクしたことでプリカーサーから操られていることを知る。ガイズラーはドローン・イェーガーにカイジュウの細胞を組み込んで暴走させ、海底の裂け目から新たな3体のカイジュウの侵入を成功させる。目的は日本の富士山にある火山帯にカイジュウの血液を流し込んで大爆発を起こさせること。PPCDは残されたわずか4体のイェーガーに地球の未来を託す。イェーガーは決戦の地、東京を目指してロケットブースターでぶっ飛ぶ!


 前回は知能などまるでないように思われたプリカーサーにかなりの知能が感じられ、前作の味方を操って仲間割れのような状態を作り出している。まるで『ウルトラマンA』における異次元人ヤプールのようないやらしい作戦なのだ。そうすると東京で現れる合体怪獣の元ネタはA最終回に登場するジャンボキングか!?そういえば主人公のジェイクはラストでもう一人の女性主人公、アマーラと一緒にイェーガーに乗り込むんだけど、これってやっぱり北斗と南のウルトラタッチを意識してるのかな…二人が仲間からなかなか信じてもらえなかったり、途中で「追放だ!」って言われるのも北斗が竜隊長にすぐ「お前は謹慎だ!」って言われるのを彷彿とさせるな。
 見れば見るほどラストの決戦はエヴァ風というよりはウルトラマンA風だよな…デナイト監督、どこまでオタクなんだ!!

 こうなったら続編は死んだとされていたマコが月星人・森マコとかになって帰ってきてくれないと納得できないな。デル・トロとデナイトならやってくれる!怪獣オタクのみなさんは満足の一本でしょう。