大市民復活 ヤバイぞきみお | しばりやトーマスの斜陽産業・続

大市民復活 ヤバイぞきみお

※この記事は前ブログの過去記事(2016/20/21)の再録です

 

毎月愛読している世間で流行っているありとあらゆるモノにケチ、いちゃもんを付ける全方位批判誌『実話BUBKAタブー』に連載している『柳沢きみおの時事激談 ヤバイぞニッポン』を読まずにいられない。
 これは柳沢きみおが世間の色んなモノに筋違いの怒りをぶつけ、呪詛を撒き散らす、とんでもなく内容のないエッセイなのだが、コレが想像を絶する酷さなのだよ諸君。
 以前はAKB48と石川遼を敵視しており、ことあるごとに「少女集団」(AKBのこと)「たかが玉転がし」「イシカワリョウ」とバカにしていた(柳沢きみおはバカにしている連中をカタカナ表記するのだよ諸君)。「少女集団に群がってるオタクはバカ」「イシカワに年30億も与えているバカ」とか言ってはこの国の未来が心配になる、としなくていい国の行く先を憂う柳沢先生、最近はこの2つに飽きたのか、話題を老い先短い自分の人生の話を始め、もう年だからあとは死んでいくだけだ、貯金も仕事もないしと毎月のように「もうダメだ」「あとは死ぬだけ」を連発する、読んでる方が鬱になるようなことを描いていた。
 ところが今年になってまさかの週刊連載二本が決まった。その途端「男の人生はこれから」「仕事は75歳までできる!」などと言い出す単純さ。ジジイいいかげんにしろ。
 そして今週からサンデー毎日でスタートしたのがまさかまさかの『大市民』シリーズの最新作『下流老人の逆襲 大市民挽歌』だ!

 

『大市民』シリーズは柳沢先生のライフワークで、自身の分身ともいえる作家・山形鐘一郎のストイックな生き様を通して威厳ある中年男のダンディズムといったものを世に知らしめて大人気だったのですが、シリーズを重ねていくごとに威厳も風格もどっかに飛んでいき、一杯のビールを「あー美味し!」と絶叫し、貧乏くさい自炊メシを「工夫と努力」と言い張り、ボロボロのアパートに住まう孤独な老人が話題になっている人間をバカと罵るだけの老害漫画(といいながらコマに文字を書いているだけなので漫画であることすら放棄した)と化していた。去年、満を持して描き下ろしの形で『大市民 最終章』が全一巻のコミックスとして発売され、行き着くところまで行き着いた感があったが、この度新連載という形でついには「最終章にする」といった自身の発言さえも否定して始まった『大市民挽歌』は結局いつもと同じでした。


 世田谷区の上下4室ずつのアパートに住む小説家・山形鐘一郎68歳(最初は45歳だった)。彼は自分がついに「前期高齢者」扱いになった自分の老いと死を実感した。これからの人生をどう生きていくのか?自由気ままに生きてきたので貯金もなく、年金もない。重い病気にかかったら一発で下流老人になってしまう!

 しかしこの危機感が創作のエネルギーになるわけだ…とドヤ顔の山形(柳沢)。ドヤ顔するようなことか、それ。まるで人生を達観したかのような佇まいの山形だが、続いての発言に驚かされる。

「で…私の当面の目標は貯金を1000万にする…だな」

超ドヤ顔の山形。目標は貯金1000万(笑


 ジジイ!全然達観できてないだろ!脂ぎっとるやんけ!にしてもあれだけ高級外車を乗り回し、愛人を複数抱えてすべて養っていたはずの山形(柳沢)が1000万の貯金すらないとは…そんなジジイに威張られてもなあ…しかもその目標を「小市民で生きよう」などと言い出すのだ。いや、この漫画『大市民』なんじゃないの…
 この後柳沢がBUNKAタブーの連載でも書いてた最近ハマっているアイス緑茶の作り方を公開。コップにギチギチに氷を詰めてアツアツの緑茶を一気に注ぐ。これがあーっ美味し!なのだよ諸君。ってわざわざ4コマも使って書くことか!!シリーズ通じてのレギュラーキャラ、佐川氏(会社が倒産して嫁にも逃げられた50代の男性。山形唯一の友人)が登場し一緒にアイス緑茶を飲みながら老いについてトーク。

 一度も入院せずに生きてこられる、コレだけでもとても幸せな人生なんだとね、とちょっとイイこと言ってみせるが、山形(柳沢)がこういうことを言い出すのは得てして自慢する時で、要するに「俺は入院もしたことがない、自己管理が出来ている男なのだ」と言いたいだけ。後半では同じアパートの住人・山田(勤めていた会社が潰れて再就職先を探している31歳)と散歩に行った時、自分は一度も健康診断を受けていない、自分の血圧、血糖値、血液型すら知らない大マヌケさだよというのだがその時も口元が緩んでいるドヤ顔なのだ。

めっちゃドヤ顔!でも威張るようなことじゃない!

普通に考えたら血液型も血圧も知らないなんてタダの無知なバカなのだが「自己管理で生きる」と決めた山形(柳沢)には何を言っても無駄!

「一度きりの人生だからこそ自己管理と自己責任コレで生きるべきだよ」



 と拳を握って力説してるけど、自己管理できてたら借金で破産しないんじゃないのか、そもそも。BUNKAタブーの連載でもオリンピックが嫌いだから地震が起きて無くなればいいとか、韓国で大揺れがあったことを「お隣の韓国の日本に対する唯一の自慢が地震がないだったのに二回も大揺れが起きたしなァ(悪いが笑ってしまった)」なんて書いているぐらい、腐った妄言を吐き散らすだけの老害となっている柳沢きみお。漫画ではこんなジジイの元にキャバ嬢やらがやってきて彼を頼っているのだが、実際は孤独な友達もいないジジイ(柳沢きみお)が独り言をつぶやいてるだけだもんなあ。『大市民語録』の時とか、1人で延々とつぶやいているだけだった。今回は久しぶりの連載なのでアパート住人との交流が描かれてるだけマシなのかもしらんけど。

 サンデー毎日という、コンビニで見つけることすら困難(梅田の紀伊国屋で購入した)な、要するにコンビニでは手にとってすらもらえない末期の総合誌で今号も五木寛之・萩原寛子の対談で「老人は金をもたずに散財しろ!」とどう見ても小銭を溜め込んでいる連中が力説している、人気企画が私立高校、大学のランク付け(爆笑)という末期も末期な雑誌で老害が虚しい妄言を吐き散らしている『大市民挽歌』。収まるべきところに収まったというところか。