好きなデザイナーと働くこと (前編) | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 どれだけセンスのいい人と一緒にモノ創りの時間を共有できるかで、自分の学べることも当然多くなりますし、自分のセンスをその人の前で試す機会があればあるほど、批評されることでそれを発展させるチャンスになります。そういう未来が容易に想像できる、ですからモノ作りを目指す人は自分の好きなデザイナーと働きたいと思うのはもっともだと言えます。


 かく言う僕も以前までのミラノの会社は心の底から働きたかったデザイナーの会社でしたし、自分のテイストが彼と同じ様な方向だったので、デザイナーのアイデアとパタンナーであった自分の提案を掛け合わせる事で、お互いの良い部分を組み込ませながら出来た作品も何点かあり、その作品が出来上がった時は、この仕事をやっていて良かったなーと本当に思ったものでした。彼から褒めてもらえたものもありますし、お互いの良い所をそれぞれ出し合ってモノを創るという経験が出来た事は本当に貴重だなと思っていますし、誇りにも思っています。


 以前のミラノの会社はデザイナーとパタンナーが完全に別れていましたが、そのさらに前の会社で日本にいた時は、デザインもパタンナーがある程度ベースを考えて自分でパターン(型紙)も作るという体制で、まだド新人だったということも手伝って、デザイナーって何なんだろうかと思っていたのですが、ミラノに来てから、なるほどデザイナーという職業はパタンナーと別々であることにも意味があるのだとなんとなくですが理解した気がします。モノ作りの出発点を産み出すというデザイナーという存在の重要性をこの時に体験しました。


 その前社のデザイナーの発想はいつもトんでいて、でもそれが自分の好きな方向だから、どうやってでも実現させてあげたいという気持ちになる。そして、そのためにはありとあらゆる方法を考えないといけないのですが、完成したら間違いなく自分が好きなのは判っているので、どれだけ苦労があっても、やり直しをして怒られても、最終的には楽しかったというのでしょうか、何にせよこの時期には自分の好きな方向の技術や知識などは本当に伸びたと思っています。つまり、自分の好きな会社で働く事は間違いなく自分のプロフェッショナリティをさらにプロフェッショナルな域に向上させる大きなきっかけになるという事は言えると思います。


 では、自分が好きではない人と働く事は意味が無いのでしょうか?ここで言う”好きではない”というのは嫌いという意味ではありません。 一般的に有り得る状況は、世間と世のプロからとても素晴らしい評価を受け、著名な人だけれども、どうも知識と経験値の低い自分にはその価値がうまく理解出来ていない、という場合です。僕の一社目はどう考えても自分の知識と経験の欠如が原因です。今の会社の場合もそれが原因ですが、一つ敢えて言い分けを言わせてもらうと、自分の好きなモノと方向性が違うということと、かつ今までメンズだった自分がレディスに移ったという違いも理由として大きいと思います。今もまさにそうですが、色々な面で苦労している反面、悪い事ばかりではなさそうなのです


 明日に続けます。





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