夢を与える事のできる人 | 伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

伝統技術を現代のライフスタイルに合わせて発信するプロジェクト  ”ARLNATA” アルルナータ ディレクターの独り言

約11年に渡るヨーロッパの様々なステージのラグジュアリーブランドを経て日本に帰国し、衰退産業とも言われている日本の伝統技術を今の形で発信するためのプロジェクト”ARLNATA”アルルナータを主催しているディレクターの独り言です。
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 僕は15年程前、大学で建築学を専攻していましたが、色々な縁があり、たくさんの人の協力を経て、今こうやって大好きなファッションを仕事にすることが出来ています。ファッションが“好き”から“大好き”になったきっかけは、ファッション関係者でなくても知っている人も多いでしょう“ALEXANDER MCQUEEN(アレキサンダー マックイーン)”の服を雑誌で見てショックを受けた事でした。 ただの洋服の紹介コーナーに掲載されていた黒のレザーのロングコートだったのですが、レザーをカットして模様を付け、そのカットした部分が下地の赤い裏地に重ねられ、彫刻の様に浮かび上がる、黒と赤のコントラストが大胆なデザインでした。それ以来マックイーンに魅せられ、洋服の型紙(パターン)がデザインになり得るのだということを知り、センスというよりどちらかと言うと理論で勝負したかった自分でも洋服が作れるかも、と夢を抱いていたのを覚えています。そして色々な紆余曲折を経て、ファッションの世界に入ることができました。その後、現在の自分に大きく影響を与えてくれた人々は他にももちろんいますが、彼がいなかったらどうなっているのかと思うと、あの時彼の作品に出会えたことは現在にしっかりと繋がっていて、自分の洋服作り人生のスタート地点でもあるのだなと改めて思い出していました。


 ~夢を与える事のできる人~ 直接的に誰かに夢を与えられる人なんてそう簡単にはなれません。僕に最初のきっかけを与えたくれたマックイーンも、ファッション史に間違いなく残るデザイナーの一人、とても著名な人です、残念ながら若くして亡くなられましたが。僕だけでなく彼からの影響を受けた人はたくさんいることでしょう。しかしながら、彼のファッションは彼一人だけで成立するものではありません。彼の後ろで、同じ志を持ったたくさんの人たちが彼の歴史を支えて来たのは間違いありません。僕はマックイーンに夢を与えてもらったと言いましたが、実は間接的に彼の歴史の歩みを支えて来たたくさんの人達からも与えられていたのですね。


 皆さんもどんな仕事であれ、その道を進もうと決心をしたきっかけがあるのではと思います。ひょっとしたら現在進路を考えている人もいるかもしれません。今の仕事をしている自分がそれに興味を持ったきっかけを思い出して下さい。そしてこの道に進もうと決心したその動機を思い出して下さい。あなたがもし今の仕事を自分の意志で決めたのであれば、そのきっかけは間違いなく過去の誰かの仕事に影響されているはずです。その方達の仕事から将来の夢を与えてもらったと言えるのではないでしょうか。そう思うと、自分が忙しい日々に追われて、ただ終わらせないといけないモノと思っているかもしれない”仕事”が会社という枠を超えた責任を帯びて来ませんでしょうか。自分はまだ会社のコマの一つに過ぎないと思っているかもしれないけど、自分の仕事がひょっとしたら過去の自分が受け取ったのと同じ様なきっかけを誰かに間接的に与えているのかもしれないし、与えることが出来るかもしれない。そう思うと、ひょっとしておろそかになりかけていた毎日の作業に少し注意を払いたくなります。


 僕は自分の仕事がどんな形であれ夢を与えるものであってほしいと思っていますし、ファッションは夢を与えるものでなければならないと信じています。月並みな言い方ですが、人間は一人では生きて行けません。自分のためだと思ってやっていることでも、知らない所で良くも悪くも人に影響を与える事もあるし、僕たちが受けている影響だって、考えてみれば誰かの仕業だったりするのです。こんなことを毎回日々の生活の中で考える訳には行きませんが、少なくとも自分の仕事の責任感が少しだけ大きくなった気がします。“夢を与えてもらった自分が夢を与える番になる”これだけを聞けば、なんと傲慢な、大げさな!と思われるかもしれませんが、僕はそう願うに足りる仕事を目指して、日々精進しようと思っています。



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