自分は今まで、そういった流行を創る側、もしくは誰も見た事が無い新しいものを創ろうという姿勢のデザイナーと働いて来た自負がありますが、彼らの回りには同じ様な姿勢の熱意を持った人たちが多く集まってくるのは事実ですし、そういった熱意を持った人は間違いなく自分を高める努力をしています。逆にブランド側（会社側）はそういった熱意と経験そしてセンスを兼ねそろえた人材を揃えるためにお金を出しています。少なくともイタリアではファッション業界の地位は高く、給料も比較的いい方だと言われています。その筋の人々に聞いても、出来る人間にはとことんお金は投資するといった環境がイタリア（ヨーロッパ）、アメリカにはあるようですし、それだけ、自分たちのスタイル、もしくは新しいものを創造する環境を維持することに誇りを持っているからだと思います。
そもそも、もうすでにデザインが決まっている服を作る事だって、自分一人で作ったらとても大変ですよね。パターンを作らないといけない、そのパターンがきれいかどうかもわからない、やり直しをしないといけないかもしれない、やり直しも一回だけで済むかの保証がない、生地も自分で選ばないといけない、その生地で実際縫い終わってデザインと合ってるかどうかもわからない、、、。いい洋服って、そんな簡単には出来ません。それぞれの分野のプロが集まり各分野で自分のセンスで勝負して最高のものを出し合い、それをトップのデザイナーが自分のセンスを振り絞って判断する。お店に行けばただの一着ですが、そういった地味な繰り返し作業の結果なのです。この地味な繰り返し作業一つ一つの過程に熱意と経験と感性を持ったプロ達が手をかける。だからこそいい服は高いのです。高くて当然です。僕はまだまだ成長過程でありますが、誇りを持ってその一員として働いている以上、ファストファッションの手法がそうやって苦労して出来上がったコレクション達の結果（写真等）だけをみて、その各々のブランドの個性だとかは一切排除し、売れるか売れないかだけの判断で選択し、自分達用にアレンジして作られた服と思ってしまう以上、例え値段とクオリティのバランスがよく、いいなと思う服であったとしても買おうとは思えません。例えそれが２０ユーロだろうが、５０ユーロだろうが、買ってしまった以上は、そういったアレンジ行為に賛同する事になるし、アレンジ行為に投資する事になるからです。僕個人としては、モノを創り出すということがどれだけ大変かということを少なからず知っているからこそ、ファストファッションにお金を落とす事にはどうも抵抗があります。彼らのプロフェッショナリティは認めていますけど、ですが。しかも僕一人がこうした態度を取ったところで、彼らに取ってどうってこともないでしょうけど、、、
今一度自分の仕事を見つめ直して、正すべきは正し、 改善すべきは改善し、伸ばすべきは伸ばし、その結果姿勢を正さなければという気持ちになる様な点があったのであれば 、それを早速実行しましょう。そうすることで、今日という日が素晴らしい未来に続く新たな一歩になるのだろうと思います。
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